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ご注意ください!!

2022/08/15

STOP! 建設業務に就く職業の有料職業紹介は原則として禁止されています

ご存知ですか?  
建設業務に就く職業(建設業)では仕事の斡旋を有料で行うと法律で罰せられる可能性があります。

今回は、建設業における職業紹介についてお話しします。
一般の職種と違ってなぜ建設業は有料職業紹介が禁止なのか、有料で紹介を受けた場合はどうしたら良いのか、JACが日頃お世話になっている杉田昌平弁護士(弁護士法人Global HR Strategy)に法律について教えていただきました。

どうして建設業だけ有料職業紹介が禁止なの?

建設業が有料職業紹介を禁止する理由は主に2つあります。
    ①建設業の労働環境が特殊なため
    ②必要とする労働力が不安定なため

理由①建設業の労働環境が特殊なため

建設業は1つの建物を作るまでに多種多様な工事工程があり、工程ごとに専門業者へ下請けを依頼していることが多いです。
そのため工事現場には複数の企業が混ざり合い、指示をする元請と指示を受ける下請が混在し、指揮命令関係がややこしくなりがち。
そこに、派遣労働者が入ると関係はさらに複雑になります。

元請会社は、下請会社へ指揮命令ができますが、元請会社から下請会社の派遣労働者へ直接指揮命令はできません。
あくまでも派遣労働者は、雇用関係を結んでいる下請会社の指揮命令に従う契約のため、指示命令関係はハッキリされていないといけません。

ですが、工事現場では複数の企業の共同作業をしており、指揮命令の責任者が誰かが曖昧になる可能性があります。
誰から指示をもらい、教育を受け、作業を行うのかが曖昧になってしまうと、作業安全面や労働衛生が守られず、労働者の保護が疎かになってしまう可能性があります。
このような建設業の特殊な労働環境から、有料職業紹介は禁止されています。

理由②必要とする労働力が不安定なため

建設業は固定された場所ではなく、工事現場を転々としながら作業をすることが多いです。
季節や気候などの状況によっては作業が遅れ、当初の予定よりも工事期間が延びることもあります。
そのため、「いつ・どこで・どのくらいの労働力で働く」と正確に予測することが難しい職種がほとんどです。

さらに受注ベースのため、工事がなければ人手が必要ないので雇用が不要となり、正社員として人手を確保しておくことがリスクとなります。

このように、人材を必要なときだけ気軽に雇い、不要になったら解雇するといった不当雇用・解雇を防止するために、建設業は有料職業紹介が禁止されています。

有料職業紹介には法律による罰則規定があります

少し法律の内容に触れてみましょう。
建設業の有料職業紹介は職業安定法32条の11第1項により禁止されています。 

第三十二条の十一 有料職業紹介事業者は、港湾運送業務(中略)に就く職業、建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)に就く職業その他有料の職業紹介事業においてその職業のあつせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業を求職者に紹介してはならない。

② 第五条の五第一項及び第五条の六第一項の規定は、有料職業紹介事業者に係る前項に規定する職業に係る求人の申込み及び求職の申込みについては、適用しない。

32条の11第1項に違反する場合、その事業者は以下の法64条4号に該当するので、1年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

第六十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
四 第三十二条の十一第一項の規定に違反した者

事業者が法32条の11第1項に違反して、建設業の有料職業紹介を行っている場合、厚生労働大臣は、法48条の2(指導助言)及び法48条の3(改善命令等)を行うことが可能です。そして、法48条の3第1項に基づく命令に違反した場合、法65条により6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります

第四十八条の二 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者に対し、その業務の適正な運営を確保するために必要な指導及び助言をすることができる。

第四十八条の三 厚生労働大臣は、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者又は労働者供給事業者が、その業務に関しこの法律の規定又はこれに基づく命令の規定に違反した場合において、当該業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、これらの者に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

② 厚生労働大臣は、求人者又は労働者供給を受けようとする者が、第五条の三第二項若しくは第三項の規定に違反しているとき、若しくは第五条の五第三項の規定による求めに対して事実に相違する報告をしたとき、又はこれらの規定に違反して前条の規定による指導若しくは助言を受けたにもかかわらずなおこれらの規定に違反するおそれがあると認めるときは、当該求人者又は労働者供給を受けようとする者に対し、第五条の三第二項若しくは第三項又は第五条の五第三項の規定の違反を是正するために必要な措置又はその違反を防止するために必要な措置を執るべきことを勧告することができる。

第六十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
七 第四十八条の三第一項の規定による命令に違反した者

このように、建設業の有料職業紹介は法律で原則として禁止されているものであり(※)、求人側の企業さまにおいても、法に違反している事業者からの職業紹介を受けることがないように注意する必要があります。
※建設業務有料職業紹介事業として適法に行うことができる場合もあります。

外国から有料人材紹介の斡旋があった場合はどうすれば良いですか?

本来、職業紹介事業者は罰則により処分される可能性があります。
また、そもそも有料職業紹介の許可等、必要な許可を有していない可能性もあります。
ところが、国外の法人に対して日本法は及ばないため、処分されないことが想定されます。  
しかし、決して容認されるものではありませんね。

★ 対応策 ★

「日本の建設業では、建設業務の求職者を有料で紹介することは、日本の法律で禁止されています。」とはっきり断りましょう。 そのような事案が発生した場合は、お近くの労働局にご相談ください。

日本の職業紹介会社からオファーが来たらどうすれば良いですか?

先日、建設企業の方からJACへ「特定技能外国人を40〜45万円で紹介します、という電話がありました」と情報提供をいただきました。

このような有料の人材紹介があった場合は、不審な電話だと思ってください。
「建設業は無料ですよね?」と一声かけると電話が切れることが多いようです。

「受入負担金の支払い、申請・手続き・受入れ後までさまざまなサービス込みで対応する」といった電話もあるようですが、受入負担金は受入企業さまからJACもしくは加入の正会員団体へ支払うことになっています。
そのため人材紹介会社へ支払うことは絶対にありません。

申請などの手続きも受入企業さまがするものです。
在留資格の手続を取次者に依頼することも可能ですが、弁護士または行政書士等の取次資格を有する方に限られます。

正しい知識を持っていることが先方に伝われば、執拗にアプローチしてくることはないでしょう。
被害に遭わないよう、少しでも「おや?」と思った場合はJACコールセンターへお気軽にご連絡ください。

【お問い合わせ先】
(一般社団法人)建設技能人材機構(JAC)コールセンター
Tel: 0120-220353(平日:9:00〜17:30)

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私が監修しました!

杉田 昌平

すぎた しょうへい

弁護士法人Global HR Strategy 代表社員弁護士

弁護士(東京弁護士会)、入管届出済弁護士、社会保険労務士。慶應義塾大学大学院法務研究科特任講師、名古屋大学大学院法学研究科日本法研究教育センター(ベトナム)特任講師、ハノイ法科大学客員研究員、法律事務所勤務等を経て、現在、弁護士法人Global HR Strategy 代表社員弁護士、独立行政法人国際協力機構国際協力専門員(外国人雇用/労働関係法令及び出入国管理関係法令)、慶應義塾大学大学院法務研究科・グローバル法研究所研究員。