外国人を受け入れている企業様の先進事例

「日本人より日本人」 人並み以上の気配りで誰からも愛される社員に

株式会社岡興産 代表取締役 岡 巌 氏

三重県にある株式会社岡興産では、2015年から受入れを開始し、現在もカンボジア人や中国人を雇用しています。
今回は、同社代表の岡さんとカンボジア人のシナットさんの声をご紹介します。

受入企業 Interview

企業プロフィール

所在地:三重県いなべ市藤原町下野尻86
事業内容:土木一式工事、建築一式工事 など
Website: https://oka-kousan.com

外国人 2 名 /従業員数 50 名 内)特定技能 2名(カンボジア人、中国人)
  • カンボジアへの支援の一環で受入れ開始
  • 外国人の「わかりました」は注意が必要
  • 「昼休憩」の過ごし方でチーム力アップ
現場で打ち合わせする伊藤さんとシナットさん
受入れを決めた理由は?
10年以上前に会社の慰安旅行でカンボジアへ行った時、現地のガイドと仲良くなりました。その際に、カンボジアにはまだまだ生活水準の低い家庭が多いことを知り、それをきっかけに現地の孤児院などへの支援活動を続けています。受入れもその一環としてスタートしました。
受け入れて良かった点は?
当社で働くシナットは、日本人社員の「外国人」へのマイナスイメージを覆してくれました。彼は仕事だけでなく、気配りも人並み以上にすごい。例えば寒い冬の朝、出発前の車のエンジンをかけて同僚のために車内を温めるんです。そんな彼が愛されないわけがありません。
今後の展開を教えてください。
受入れは継続する予定です。人口減少により、私たちの業種は今後さらに人手不足が加速するでしょう。
ですが、歴史を振り返れば、さまざまな文化、人種との交わりによって日本は成り立っています。そうした視点で見ると、外国人の力を借りるのは必然とも言える。できれば彼らが活躍できるように、もう少し制度や環境が整備されることを国には期待しています。
初期導入
・寮の確保(畑つき)
・Wi-Fi環境あり
・生活家電、生活用品支給
・自転車 など
給与体系イメージ
・特定技能(基本給)約22万円/月
 ※技能習熟等に応じた昇給あり
・技能実習時(基本給)約19万円/月

シナットさんはほとんどの重機を乗りこなせるとか
畑では旬の野菜を栽培中

現場で働くみなさんの声

日本での仕事や生活、またこれからの目標について、同社に在籍する特定技能1号のシナットさんにお話を伺いました。

同僚や上司から「日本人より日本人」と言われます(笑)

ソアン シナットさん

シナットさんは和歌山県で技能実習生として3年間働いた後、一度母国のカンボジアへ帰国し、送り出し機関で講師として日本語を教えていたそうです。そのため、日本語が堪能で、日常会話はまったく問題なく話せるレベルです。言葉の上達のコツを聞くと「とにかく日本人と話すことです。また、暇を見つけてはひらがなの読み書きを練習していましたね」。上司は「今でも昼休みにボロボロになった日本語の辞書を読んでいる姿を目にする」と、そのがんばりを手放しでたたえます。
仕事以外では、社宅のそばにある畑で野菜を育てたり、休日には神社を巡ったりと、同僚や上司から「日本人より日本人」と言われるのだとか。「実家が農家なので、野菜作りは得意なんです。ここの畑でもいろいろな野菜を作りましたが、日本のイチゴは特においしいですね」。神社については、「日本の神様も大好きで、参拝に行くのがとても楽しみ。伊勢神宮にも行きました」。
そんなシナットさんに日本の魅力を聞くと「何より人がやさしいです。みんなが私のためにたくさんのサポートをしてくれる。それが一番うれしい」。現在は普通自動車免許の取得を目指しているそうで、今以上に会社の役に立ちたいと猛勉強中です。

受入企業の取組み

取締役 土木部長
伊藤 純 氏

2015年にカンボジア人3名を受入れたのがスタートでした。社員全員が外国人と仕事をするのが初めてだったので、コミュニケーションにはとても不安を感じていました。ですが、最初に来てくれたカンボジア人は日本語が堪能で、会話に困らないレベルだったんです。そのおかげで、ともに働くことに苦労することはありませんでした。
また、その後に入社したシナットはさらに日本語が堪能で、仕事の覚えも早い。気配りも完璧だったので、実際は「仕事ができる若手の日本人」が入社したという感覚です。とはいえ、受入れ当初は気をつけていたことがあります。外国人にありがちなのが、仕事を教えている最中に、よく理解していないのにも関わらず、こちらの顔色を伺って「わかりました」と答えてしまうこと。これは一度注意しました。後はほとんど問題なかったと思います。
彼は、会社でも先輩が座るまでは絶対に座りません。他の社員が休憩している間も、その日の作業に必要な道具を予測して荷物を整えています。国籍がどこであるか以前に、一人の人間としてすばらしい人格を持っています。彼が来てくれて、本当に助かりました。

距離を縮める工夫

一番大切なのは、顔を合わせる時間を作ることだと考えています。
例えば、お昼休憩です。近頃はそれぞれが車中で食べたり、黙ってスマホをいじっていたりと、バラバラで過ごす会社も多いようです。もちろん休憩時間なので、自由に過ごしてかまわないのですが、ご飯を食べる時だけは一緒に輪になって食べてほしい。なぜなら、そこでの雑談が何より大切だからです。
実は、そういった時の会話に、次の作業の段取りのヒントがあり、仕事を覚えるチャンスがある。その何気ないコミュニケーションが、お互いの距離を縮めるだけでなく、人として成長する機会にもなると思っています。

岡さんは自然保護にも力を入れている

受入れ検討企業へのアドバイス

外国人と働いた経験がない人は、不安に思うのも当然です。でも、逆を言えば、外国人も日本で働くことに不安があるのです。
だからこそ、こちらから歩み寄ることが重要です。例えば、彼らが作業道具や測量機器などに興味を持っている仕草を見せたら、実際に触らせて、使ってみせる。そして、それが仕事への好奇心につながれば、今度は教える側もやりがいを感じるようになる。こうした交流からチームワークが生まれるのです。ぜひ彼らの成長を手助けしてあげてほしいですね。

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