外国人を受け入れている企業様の先進事例

当社で身につけた技術を我が国で十分に発揮してもらいたい

株式会社ヤマコン 関東支店支店長 柏倉 剛志 氏

山形県にある株式会社ヤマコンでは、2000年から受入れを開始し、現在も多くの外国人を雇用しています。今回は、同社関東支店支店長の柏倉さんとベトナム人のホアンさんの声をご紹介します。

受入企業 Interview

企業プロフィール

所在地:山形県山形市十文字天神東770
事業内容:コンクリート圧送工事/給排水設備工事/防水工事 など
Website: http://www.yamacon.jp/

外国人 16 名 /従業員数 193 名 内)特定技能 3名 / 技能実習生 13名(すべてベトナム人)
  • 受入れで職場に多様性が生まれた
  • ベトナム人主催で食事会を開催
  • サポート次第で代え難い戦力になる
コンクリートポンプ車の配管をつなぐホアンさん
受入れを決めた理由は?
人材不足への不安から中国人を受け入れたのがスタートです。その後、ベトナムの建設会社と協力関係ができ、同社から「社員に日本の技術を学ばせたい」という依頼があったことから、実習制度を利用して継続的に同社の人材を受け入れるようになりました。受入れが安定したほか、国際協力にもつながり理想的な提携でしたが、コロナの影響で今は一般公募で受け入れています。
受け入れて良かった点は?
現場で見ていてまず驚かされたのが、とにかく素直なことと、並外れた勤勉性の高さでした。どんな作業に対しても「早く覚えたい」という前向きな姿勢を非常に感じたものです。すると、他の日本人従業員も感化されて、全体的に仕事への向き合い方が変わっていったと思います。
今後の展開を教えてください。
当社で働いてくれている外国人は、ほとんどの方がとにかく仲間思いで、やる気に満ちています。そんな彼らが、せっかく来日して日本の技術を身につけるわけですから、もっとこの国で能力をフルに活かしてほしいと考えています。少しでも長く日本で働いてもらえるように、当社もここからさらに彼らが気持ちよく働けるような環境の整備を進める予定です。
初期導入
・寮の確保
・エアコン
・Wi-Fi環境
・必要な生活用品(家具、家電 など)
給与体系イメージ
・ 特定技能(月額基本給)約28万円(固定給)
※技能・日本語習熟に応じた昇給あり
・ 技能実習(月額基本給)約18万円

ホアンさんは実質的なリーダーとしてほとんどの作業をこなす
湯本さんもホアンさんを頼りにしているとか

現場で働くみなさんの声

日本での仕事や生活、またこれからの目標について、同社に在籍する特定技能1号のホアンさんにお話を伺いました。

家族を大事にする国の人間同士、もっと楽しくやっていきたい!

ホアンさん

2011年から同社で働き、社内でもすでに「仕事のできる先輩」として頼りにされているホアンさん。日本語レベルが高く、語学上達のコツを聞くと、彼独自の工夫がありました。「仕事に就く前に日本語を学びますが、実際に現場へ出てみるとまるで通じません。でも、先輩からは『○○の道具を持ってきて』と、次々指示が飛ぶわけです。でも、その名称もわからない。そこで私はあえて『いや、ないですね。どこにありますか?』と聞き返すのです。すると、『ここにあるよ』と先輩は教えてくれる。そこで初めて道具の名前がわかり、そうしたやり取りを何度も繰り返して、徐々に道具や言葉を覚えていきました」。そんな機転が利くホアンさんは、今では工務主任として現場を仕切りながらも、明るい性格から場を盛り上げる存在でもあるのだとか。また、旧正月には自身が企画した、日本人を招いてベトナム料理を振る舞う食事会も主催しています。「ベトナム人は何よりも家族を大事にしますが、日本人も同じだと思っています。そんな私たちなら仕事以外でも仲良くなれるはず。職場の雰囲気が明るいほうが、人生も楽しいですから」。そんなホアンさんの周りは笑顔でいっぱいです。

受入企業の取組み

管理部係長
湯本 亜久里 氏

コンクリート圧送工事の仕事は、役割としてオペレーター(作業指揮者)と、サポーター(作業担当者)に分かれます。通常、オペレーターは工事現場までの運転も職務に含まれるため、免許を持たない外国人技能者達は基本的にサポーターを務めています。しかし、中には実質的にオペレーターの役割を担える優秀な外国人技能者もおり、その筆頭がホアンさんです。彼は日本語が堪能で、現場監督と打ち合わせを行って、周囲に必要な指示を出し、作業の段取りや采配を振ることができます。また、今年(2023年)はコンクリート圧送の技能検定1級に見事合格しました。工務主任に昇格もし、今ではベトナム人技能者は元より、新人の日本人職員の教育・指導も行っています。ベトナム人は努力家が多く、異国の地でもがんばれる方たちなので、見習う点は非常に多い。そんな彼らと一緒に働くメリットの一つが、職場に多様性が生まれることです。どうしても同じ日本人同士、長く働いていると、いつの間にか価値観が固まってしまいがちです。そこに、価値観や文化がまったく違うベトナム人が入ることによって、考え方に柔軟性が生まれる。そしてそれは今度、日本人の新人教育にも良い影響として出てくるはず。そう考えると、受入れは良いことだらけですよね。

距離を縮める工夫

毎年9月に研修旅行として、日本の文化に触れられる場所に行っています。バスを貸し切り、日本人社員も自由参加で、これまで日光東照宮や東京ドイツ村などへ足を運びました。また、反対に彼らから距離を縮めるために企画してくれたのが、食事会。ホアンさんが発起人です。ベトナム人にとっての正月である「テト」に事務所の部屋いっぱいに母国の料理を作ってくれて、社員や社員の家族まで招待してくれます。大食事会といった感じで、みんなでわいわいと賑やかに食事するので、気づけばみんな仲良くなっていますよ。

研修旅行で訪れた日光東照宮

受入れ検討企業へのアドバイス

日本でがんばろうという強い意志を持った外国人は、勤勉な方が多いので、しっかりとサポートしてあげれば、必ず将来の戦力になってくれます。反対に、サポートが足りないと、途中で挫折してしまう人も出てきます。やはり外国で働き生活する彼らは、生活の基盤が脆い。何かあっても頼れる人がいるとは限りません。仲間として支えてあげることで、パフォーマンスをフルに発揮し、会社にとって代え難い戦力になるのです。ぜひ彼らを応援してあげてください。

「テト」に催される食事会の様子