外国人を受け入れている企業様の先進事例

当社の主力は外国人 彼らを職長にまで育てることが急務です

画像:代表取締役社長 塚田 真一郎 氏

株式会社塚田工業 代表取締役社長 塚田 真一郎 氏

東京都を拠点とする株式会社塚田工業では、2005年から(一財)建設業振興基金より研修生の受入れを開始し、現在、中国人、インドネシア人を雇用しています。
今回は、同社代表の塚田さんと職長の島田さん、中国人特定技能1号2名の声をご紹介します。

受入企業 Interview

企業プロフィール

所在地:東京都台東区三筋2丁目14番地2号
事業内容:建築工事一式請負、建築改修工事、建築設計、左官工事、リフォーム工事 など
Website: http://www.ae-tsukada.com

外国人 17 名 /従業員数 31 名 内)特定技能 8名 / 技能実習生 9名(中国人、インドネシア人)
画像:株式会社塚田工業
  • 即戦力を求め、現地で経験者を募集
  • 人前で注意したら必ず理由を説明する
  • 仕事を「見える化」して作業効率アップ
現場での作業の様子(ワンさん)
受入れを決めた理由は?
ゼネコンで勤めた後、35歳の時に実家の会社に戻りました。当時、外注の職人が50人ほどいたのですが、今後少子高齢化が進んでいくことを考えると、このまま何もしなければ当社も人材不足に頭を悩ませることは間違いないと危機感を覚えました。
そこで、(一社)日本左官業組合連合会を通じて(一財)建設業振興基金を紹介してもらい、中国人の受入れを始めたというわけです。
受け入れて良かった点は?
企業規模を保つには、どうしても人員を確保しなければなりません。当社の場合、左官の経験者を募集したこともあり、現地で面接した際に実技を見て「即戦力になる」と確信しました。言葉が通じないことはそれほど問題ではなく、それは時間が解決してくれました。
今後の展開を教えてください。
当社は今、外国人が主力として頑張ってくれています。そこで近い将来、特定技能1号や2号になる人たちを、職長を任せられるまでに育てることが急務だと考えています。技術面に関しては、日本人に負けないほど努力しますから、彼らなら一級技能士も問題なく受かるでしょう。ただし、語学力には不安がある人も少なくないので、今後は語学学校への入校などを検討しています。
初期導入
・一軒家を購入(現在2軒) 
・全室にエアコン・ベッド・個人の収納棚
・生活家電一式  
・Wi-Fi(中継器も設置)
給与体系イメージ
・特定技能(基本給)約24.5万円/月
 ※技能習熟等に応じた昇給あり
・技能実習時(基本給)約18.6万円/月
※N2合格者にお祝い金有

丁寧な仕事ぶりに定評のあるジョさん
「二人に任せておけば安心です。」と島田さん

現場で働くみなさんの声

日本での仕事や生活、またこれからの目標について、特定技能1号として働く中国出身のワンさん、ジョさんにお話を伺いました。

画像:現場で働くみなさんの声
画像:王 金保(ワン キンポ)さん
建設技術が進んだ日本で、左官についてもっと学びたい!

王 金保(ワン キンポ)さん

中国で左官の仕事に就いていたという王さんは、日本の建設技術が進んでいることを聞き、一度日本の左官を経験したいと考え来日しました。「仕事関係の資料は時間がある時に見直して、技術や知識を習得しています」と、学習意欲が旺盛な努力家です。実は大のカラオケ好きで「下手だけど、歌が大好きなんです」、そう笑顔で教えてくれました。
画像:徐 允奎(ジョ インケイ)さん
日本では現場の安全面や、人の真面目さ、やさしさに驚きました

徐 允奎(ジョ インケイ)さん

徐さんが日本で働いてみて一番驚いたのが、現場での安全に対する意識だったそうです。「安全第一という考え方が徹底されていました。それに日本人は仕事に真面目なので、施工の品質も中国とは違いますね」。社長の人柄にも感銘を受けているそうで「お米を支給してくれるなど、いつも私たちの生活を気にしてくれています。それが本当にうれしいですね」。

受入企業の取組み

職長
島田 英樹 氏

当社では2005年から中国人を受け入れていて、2022年からはインドネシア人の受入れもスタートしました。王さんや徐さんは当社に勤めてもう長く信頼もあるので、インドネシア人が住む寮の班長として生活のサポートなどもしてくれています。彼ら二人は左官の経験者だったということもあって、仕事を覚えるのも早くて、すぐに当社の仕事の進め方にも順応してくれました。1、2カ月ほど教えたら一人で作業ができるまでになっていたと思います。ただし、教え方は少し工夫していて、まず中国人には人前で怒らないことが大事になります。例えば、立ち入り禁止のところへ間違えて入ってしまった時など、つい「危ない!」と、どうしても唐突に声を大きくしてしまう場面があります。そうした時、彼らはこちらが思う以上にショックを受けてしまいます。ですので、なぜ大きな声で注意したのかを事後に説明することはとても大切です。彼らは日本語がそこまで理解できないこともあって、フォローしないとモチベーションが下がってしまう可能性があります。でも、気を使っているのはそれくらいで、日本人以上に仕事熱心なので、心強い戦力として本当に助かっています。

距離を縮める工夫

雑談は大事だと思います。彼らもユーモアは通じるので、仕事の話になった時などに「あの仕事、本当は自信ないんじゃないの?」など、少しからかうと「大丈夫、任せてよ」と返してくるなど、軽口は距離を縮めます。
後は、あだ名で呼ぶことも大切だと思っていて、王さんの場合だと「ワン キンポ」なので、みんなから「ワンポ」と呼ばれています。これだけでも毎日呼んでいれば親しみが湧いてくるもので、不思議と会話の機会も増えてくるのでおすすめですね。

食事会は大事なコミュニケーションの場

受入れ検討企業へのアドバイス

基本的に外国人は目的を持って来日してくるので、仕事には熱心です。しっかり育成すればそれほど不安に感じる必要はないと思います。
私から現場レベルでのアドバイスをするなら、仕事を「見える化」することが彼らとうまく仕事を進めるコツかもしれません。
「今日はここまで」と目標を与えると、彼らもその日のノルマが明確になるので、作業スピードが変わります。ぜひ試してみてください。

ミーティングでは全員が真剣な面持ち
2022年12月22日取材 受入企業様の先進事例一覧へ