外国人を受け入れている企業様の先進事例

言葉が伝わらない彼らを育てる経験が、社員を大きく成長させる

城北建設株式会社 代表取締役 細谷 芳久 氏

香川県の城北建設株式会社では、2018年から受入れを開始し、現在も多くの外国人を雇用しています。今回は、同社代表の細谷さんとベトナム人3名の声をご紹介します。

受入企業 Interview

企業プロフィール

所在地:香川県高松市郷東町796-122
事業内容:建築請負、土木一式鳶土工事業
Website: https://www.jhohoku.co.jp/

外国人 7 名 /従業員数 42 名 内)特定技能 3名 / 技能実習生 4名(すべてベトナム人)
  • ベトナム人の育成が社内教育につながった
  • 文化や言語の違いを組織の強みに
  • 相手の立場を考え、やり方を押し付けない
コンクリート打設作業を行うユイさん
受入れを決めた理由は?
できれば日本人の雇用をつくり続けたいという思いがありましたが、人材難でそうも言ってはいられず受入れを始めたというのが本音です。ただ、私は航空会社に勤めていた経験があり、海外を広く見ている中で、ベトナム人は性格的に日本人に近い印象がありました。彼らならがんばってくれるはずと受入れを決意しました。
受け入れて良かった点は?
建設業での仕事の教え方といえば、OJTが一般的です。ただ、外国人となると、言葉がうまく伝わらない中で教えなければなりません。しかし、その大変さは間違いなく人として、職人としての成長につながります。それを社員が理解してくれたことで、以前よりも仕事の質が向上したと感じています。
今後の展開を教えてください。
日本人とベトナム人では、文化や言語に違いがあります。しかし、会社という一つの組織の中で、所属する人間がそれぞれ違った特性を持っていることは不自然ではありません。むしろ、そうした違いを武器として上手に活用したほうが、かえって仕事では良い結果を生む可能性があります。そうした多様性を強みに持つ会社として、今後も受入れを継続する予定です。
初期導入
・寮の確保 
・生活家電一式
・Wi-Fi環境
・生活指導員
・現場への送迎用車両
給与体系イメージ
・ 特定技能(月額基本給)約21.2万円~
※技能習熟等に応じた昇給あり
・ 技能実習(月額基本給)約16.7万円

バックホウでの作業に従事するズンさん
1期生のズンさんは上司からの信頼も厚い

現場で働くみなさんの声

日本での仕事や生活、またこれからの目標について、特定技能1号のズンさん、ユイさん、フォンさんの3名にお話を伺いました。

何もできない日々から努力を続け、今では休日に愛車でドライブ!

ズンさん

来日当初は「言葉がわからず、何もできませんでした」。そこで、わからない言葉をメモして覚える毎日だったとか。その甲斐あって、今では会社からの信頼を得るまでに成長。プライベートでは車を購入し、休日には愛車に乗って京都や神戸に出かけています。おすすめの観光スポットをたずねると「夏は徳島県の穴吹川(あなぶきがわ)がきれいですよ!」と教えてくれました。
後ろ向きになった時、支えてくれたのが同僚や先輩でした

ユイさん

日本へ来る前に、どんな国か検索して調べたというユイさん。「日本は景色がきれいで、生活水準が高いと知って、ワクワクしていました」。しかし、実際に働き始めると仕事に慣れるまで時間がかかり、帰国しようと思ったことも。「そんな時、やさしくしてくれたのが同僚や先輩です。笑わせてくれたり、ご飯やジュースをご馳走してくれたり。本当に感謝してます!」
休日は仲間とのツーリングでリフレッシュしています!

フォンさん

日本とベトナムとの違いで何よりも驚いたのが、気候だったそうです。「冬の寒さがとても厳しいです」。反対に、日本の魅力を聞くと「ベトナムは排気ガスで空気が汚れています。でも、日本は空気がとても清潔ですね」。趣味は仲間とのツーリング。休日には四国中の観光スポットを巡っています。「今はバイクの大型免許を取得するためにがんばっています!」

受入企業の取組み

建設部 建築課長
若林 裕之 氏

2018年にベトナム人を受け入れた時、彼らから受けた最初の印象は「真面目」でした。わからないことはメモを取り、知らない言葉はすぐにスマホで調べる。その努力する姿勢には感心しました。ただ、教える立場としては、やはり言葉の違いはハードルになります。同じ初心者でも、日本人であれば10のことを説明すれば、半分は理解してくれる。でも、日本語ができない外国人だとそうはいきません。どうしても教えるのに時間がかかってしまいます。でも、その教える難しさは人を育てる上で、とても貴重な学びになります。常に「どうすれば伝わるか」を考えるので、ベトナム人に教える経験が、そのまま自分の引き出しになるわけです。すると、日本人の若手に教える時も、自然と懇切丁寧に教えるようにもなる。自分でも育成スキルが上がったと手応えを感じています。

距離を縮める工夫

まずは日常的に簡単な日本語で会話していくことが大事だと思います。また、一緒に食事する際には、ベトナム語で「乾杯」してみるなど、彼らの言葉を覚えることもしていました。会社の年行事も距離を縮めるにはとても良い機会で、女木島で行うバーベキューなどにも参加してもらい、社員同士で一緒に楽しんでいます。

特別な経験をしてほしいと、社員旅行は毎回豪華

受入れ検討企業へのアドバイス

とにかく辛抱強く教えていくことが大切です。「日本人のやり方はこうだから」と押し付けてしまうと、外国人にしたら「なぜ?」となるのは当然。逆に、自分がベトナムへ行って働くことになったらと想像すると、何もわからない中で努力を求められ続けるわけです。その気持ちを理解して接することが、きっと成功の秘訣だと思います。

会社での食事会の様子