外国人を受け入れている企業様の先進事例

移行率は約6割 末長く働くための環境を整えていきたい

画像:代表取締役 手塚 利行 氏

株式会社手塚工務店 代表取締役 手塚 利行 氏

東京都の株式会社手塚工務店では、2010年から受入れを開始し、現在も多くのインドネシア人を雇用しています。今回は、同社代表の手塚さんとインドネシア人3名の声をご紹介します。

受入企業 Interview

企業プロフィール

所在地:東京都世田谷区喜多見3-14-8
事業内容:型枠工事/リフォーム・リニューアル工事
Website: http://www.tezuka-k.co.jp/

外国人 23 名 /従業員数 48 名 内)特定技能 17名 / 技能実習生 6名(すべてインドネシア人)
画像:株式会社手塚工務店
  • 特定技能が技能実習生の数を大きく上回る
  • レベルを把握し成長できる現場へ向かわせる
  • 要望は一旦受け入れ、検討後に返答する
現場で作業をするアフマドさん
受入れを決めた理由は?
受入れを始める前、当社の職方さんたちも働き盛りの年齢で、人手に困っていなかったのですが、将来的には必ず担い手不足になることを感じ始めていました。そんな時に制度を知り、どの国から受け入れるか迷っていたところ、得意先から「インドネシア人は誠実で親日で真面目に働く」と聞き、即決しました。
受け入れて良かった点は?
現在、17名の特定技能外国人が働いてくれていて、技能実習生の数を大きく上回っています。つまり、彼らが当社の主力としてがんばってくれているということです。当社の場合、技能実習から特定技能へ移行する割合は6割ほどで、人材確保という意味ではとても安定した流れができています。
今後の展開を教えてください。
技能実習生から特定技能1号、特定技能1号から特定技能2号へ移行し、末長く当社で働いてくれる人が増えるように、よりよい環境を整えていくことを考えています。例えば資格取得のサポートや、家族を呼び寄せられる住居を探すなど、できることはしてあげたい。また、人によっては移行するにあたっての相談事もあるだろうから、個別に対応できる体制が作れればベストですね。
初期導入
・寮の確保
・生活家電一式
・Wi-Fi環境
・現場使用装着道具貸与
・作業服(夏・冬)、防寒着、空調服など貸与
給与体系イメージ
・特定技能(月額基本給)約24万円
 ※資格取得により手当3,000~5,000円
 ※技能手当 8,000円(道具購入の為の手当)
・技能実習(月額基本給)約18万円

鈴木さんへの外国人就労者からの信頼は厚い
インドネシア料理「ナシクニン」を囲んでの親睦会

現場で働くみなさんの声

日本での仕事や生活、またこれからの目標について、特定技能1号のアフマドさん、アセップさん、リドさんの3名にお話を伺いました。

画像:現場で働くみなさんの声
画像:アフマドさん
先輩のやさしさに触れ、長く日本で働き続けたいと思いました

アフマドさん

初来日から10年以上が経つアフマドさんは、富士山にも登ったことのある“日本通”です。「夜、山頂にいる時に台風がきて大変な思いをしました」。長く手塚工務店で働く理由は、会社の人たちのやさしさなのだとか。「大熱を出した時に先輩がアパートにまできて病院に連れていってくれたんです。本当にうれしかった」。今はN1合格を目指して猛勉強中です。
画像:アセップさん
インドネシアで待ってくれていた妻を幸せにしたい!

アセップさん

日本のアニメが大好きで、大ヒット作品や過去の名作を観て日本語を覚えているというアセップさん。「テキストよりもすごく勉強になります」。2017年にインドネシアに恋人を残して来日したのですが、2023年1月にめでたく結婚。「4年間も待ってくれた妻を幸せにするために、もっと日本で仕事をがんばりたいです」。そう真剣な眼差しで決意を語ってくれました。
画像:リドさん
夢はインドネシアでバイオエタノールの事業を立ち上げること!

リドさん

インドネシアでバイオエタノールの製造に関する事業を立ち上げたいという大きな夢を持っているのがリドさんです。「300万円を貯めたらバイオエタノールの原料となる米を育てるために、田んぼやトラクターを買うんです」。そんな彼が熱中しているのがフットサル。週末に仲間と集まって汗をかいているそうで「やっぱり体を動かすのが何よりも最高ですね」。

受入企業の取組み

取締役工事部統括部長
鈴木 俊匡 氏

型枠大工の仕事は技術的に覚えることがたくさんあるので、一人前になるには時間がかかります。しかし、だからこそ特定技能に移行している外国人たちは経験年数が長いので、戦力として活躍することができるのだと思います。とはいえ、技術レベルにおいては個人差が生まれることがあります。そうした時は、私がそれぞれの得意なもの、苦手なものを把握し、彼らの成長につながる現場へ行かせるといった調整をしています。これは全体のレベルの底上げが目的であり、実際に成功してもいます。また、人間関係ですが、時には親方と特定技能外国人の相性が悪いこともあります。そうした時は私が必ず間に入ってそれぞれの言い分を聞き、場合によっては現場を入れ替えることもします。外国人は立場が弱くなることがあるので、その部分では徹底して彼らを守っています。

距離を縮める工夫

私は立場上、彼らからの要望を受けることがあります。例えば以前に、会社から支給している安全靴を有名メーカーのものにしてほしいという声がありました。そうした時、「それは無理」と突っぱねるのではなく、代案を出したり条件をつけたりするなど、まずは話を聞いて検討する。それだけでも自然と距離は縮まる気がします。

花見での一枚。桜を見たいという外国人の声は多い

受入れ検討企業へのアドバイス

どうしても上から目線で接してしまう人がいます。それが嫌で帰国してしまったという話を聞くこともあります。大前提として、人としてコミュニケーションをしっかり取って接する。仕事ができる、できないの前に、その点をクリアにしておくことが大事ではないでしょうか。仲良くなることも受入れをうまく進めるコツかもしれませんね。

サッカー好きが多く仲間とチームを結成