外国人を受け入れている企業様の先進事例

腕のよい職人たちから高い技術を習得し胸を張って働いてほしい

画像:代表取締役 長井 守 氏

株式会社長井工務店 代表取締役 長井 守 氏

東京都にある株式会社長井工務店では、2015年から受入れを開始し、現在もベトナム人やネパール人を雇用しています。今回は、同社代表の長井さんとベトナム人のチィエウさんの声をご紹介します。

受入企業 Interview

企業プロフィール

所在地:東京都立川市富士見町2-11-16
事業内容:企画開発/建築/リノベーション/RC など
Website: https://www.nagai-komuten.jp/

外国人 3 名 /従業員数 40 名 内)特定技能 1名 / 技能実習生 2名(ベトナム人、ネパール人)
画像:株式会社長井工務店
  • 受入れは型枠施工との相性がよい
  • 教育機関を訪問して人選を行う
  • プライベートの交流が成長を後押し
現場では誰よりも真剣な眼差しのチィエウさん
受入れを決めた理由は?
型枠の仕事はチームで進める作業が多いので、定期的に人材を確保できる受入れとは相性がよいと思っています。受入れ前にベトナムの教育機関に視察へ行ったところ、現地で型枠大工の教育をしっかりとしていたので、「これなら大丈夫」と受入れを決めました。
受け入れて良かった点は?
ベトナム人は本当に真面目で、仕事を覚えようとする意識も高い。また、現場では日本人の職長や先輩たちに自分から歩み寄ってもいきます。そうすると、日本人もそれに応えようと熱心に教えるので、社員たちはお互いに協力しながらとてもよい雰囲気で仕事をしています。
今後の展開を教えてください。
当社の原点は造作大工で、今から60数年前に木造から鉄筋コンクリートに移行していったという歴史があります。腕のよい職人たちが型枠を作っているので、技術力には自信があるんです。外国人たちにはその高い技術力を習得してもらい、自信をもって働いてほしいですね。
初期導入
・寮の確保・Wi-Fi環境・現場への送迎車
・必要な生活用品一式(家具、家電など)
・自転車・弁当箱・生活指導員の採用
給与体系イメージ
・特定技能(月額基本給)約25万円~
・技能実習(月額基本給)約19万円
 ※技能習熟等に応じた昇給あり

社内でもトップクラスの技術を持つ
ベトナム人とネパール人の関係も良好

現場で働くみなさんの声

日本での仕事や生活、またこれからの目標について、同社に在籍する特定技能2号のチィエウさんにお話を伺いました。

画像:現場で働くみなさんの声
画像:チィエウさん
私たちを受け入れるために力を尽くしてくれた会社の役に立ちたい

チィエウさん

型枠職種として国内で初めて特定技能2号を取得したのがチィエウさんです。日本に来たばかりの頃は、技能実習生として3年間を過ごしたら帰国する予定でしたが、長井工務店で働くうちに考え方が変わっていったそうです。「仕事や日本語などほとんど何もわかっていないなか、不安しかない状態だった自分を、会社のみんながやさしく受け入れてくれました。おかげで日本での生活にも順応でき、この仕事でがんばっていこうと思えたんです。感謝しかありません」。また、チィエウさんはとても気遣いができると評判で、来日当初に生活面をサポートしてくれている吉川さんにおもてなしをしたのだとか。「私たちは1期生だったので、会社として受入れの前例がありません。きっと、私たちがどうすれば働きやすいか、生活しやすいか、たくさん悩んでくれたと思うんです。だから、自室に吉川さんを招いてささやかながらベトナム料理などをごちそうさせてもらいました」。これには吉川さんも感動したようです。今の目標は、より難しい仕事を任されること。これまで自分にしてくれたことに対する恩返しとして、会社の役に立ちたいとさらなる高みを目指しています。

受入企業の取組み

RC 事業部 部長
吉川 彰慶 氏

受入れをスタートした2015年から外国人の採用面や生活面のサポートを任されています。採用については、実際にベトナムへ足を運び、現地の教育機関を訪問して型枠の実技を見せてもらい、動きのよい生徒と個別に面談して、当社で働いてもらう人を選んでいます。以前は毎年受け入れていたのですが、来たばかりの人がまだ基礎的な技術が固まっていない状態で次の人が入ってくることになり、育成として中途半端になってしまうという課題が発生してしまいました。そこで、今は成長度合いを見定めながら、期間を調整して受入れを進めるようにしています。2021年からはベトナム人に加えて、ネパール人の受入れもスタートしています。これは、一つの国から受け入れてばかりいると、仲間内で母国語を話すようになり、日本語レベルがアップしないため、あえて多国籍にして日本語を共通語にしようという、社長の考えによるものです。日本語を話さないとコミュニケーションが取れない環境を作ることは、語学力を高めるにはとても有効です。今後はベトナムやネパール以外の国からも受け入れることを予定しています。

距離を縮める工夫

本社の上階が寮になっていて、5階にネパール人、4階にベトナム人が住んでいます。仕事から帰ってくると、日本人社員たちは気軽に彼らの部屋へ遊びにいって、一緒に食事したりお酒を飲んだりしています。彼らも快く受け入れてくれて、プライベートでの交流も盛んなのが当社の特徴かもしれません。また、ネパール人とベトナム人も仲が良くて、お互いの部屋を行き来しているようです。受入れを始める当初、社長が社員全員に「夢と情熱を持ってやってくる外国人を邪険にせず、自分の家族や友達と思って付き合ってほしい」と伝えたことが、今の雰囲気を作っているのだと思います。

週末は会社の仲間とフットサルに興じる

受入れ検討企業へのアドバイス

職人たちはたとえ言葉が通じなくても、気持ちで動くような人が多いと思うんです。そうした意味では、外国人が積極性を持って働ける環境を作ることがとても重要です。上司と部下の関係だけでなく、プライベートでは食事に誘ってあげるなど、話を聞いてあげる姿勢を持てば、自然と外国人から歩み寄ってきます。すると、職人の先輩たちも後輩としてかわいがるようになる。こうなると社内の空気も一気によくなり、外国人の成長もスピードアップするはずです。

仕事終わりには先輩たちと飲み会へ
2023年10月31日取材 受入企業様の先進事例一覧へ