外国人を受け入れている企業様の先進事例

これからの時代は彼らの力が絶対に必要、当社の成長には不可欠です

画像:代表取締役社長  矢島 孝夫 氏

矢島鉄筋工業株式会社 代表取締役社長 矢島 孝夫 氏

東京都を拠点とする矢島鉄筋工業株式会社では、30年以上も前から受入れを開始し、現在も多くの中国人を雇用しています。今回は、同社代表の矢島さんと中国人2名の声をご紹介します。

受入企業 Interview

企業プロフィール

所在地:東京都墨田区立花5丁目12-5
事業内容:鉄筋工事/鉄筋加工及び組立工事施工 ほか
Website: http://t-yjm.co.jp/

外国人 8 名 /従業員数 70 名 内)特定技能 8名(すべて中国人)
画像:矢島鉄筋工業株式会社
  • 現場で働く職人の25%がすでに外国人
  • 特定技能4名が1級鉄筋施工技能士を取得
  • 大切なのは仕事を“とにかく確認する”こと
鉄筋を結束するニカさんとソウさん
受入れを決めた理由は?
外国人を受け入れたのは今から30年以上前になります。実は、建設業界の人材不足は今に始まったことではありません。当時は、関東の躯体業者のなかには農業と兼業で働く人が一定数いて、稲刈り、田植えのシーズンになると農業を優先する人たちも少なくありませんでした。そのため、当社では安定的に人材を確保するために、中国人を受け入れたのがきっかけです。
受け入れて良かった点は?
鉄筋という職業は肉体労働であり、体力勝負の仕事です。50代、60代になってくると、技術力は向上していくものの、やはり体力では若い人たちには敵いません。会社として生産性を高めるには、体力のある若い外国人に来てもらうことは非常に重要で、本当に助かっています。
今後の展開を教えてください。
当社では協力会社含め職人が120人ほどいますが、そのうちの25%ほどが外国人になっています。また現在、新たにインドネシア人を受け入れる準備もしていて、このペースでいけば5年後には半数が外国人になっていることでしょう。当社も職人の高齢化は進む一方で、その流れは止められない。今後、外国人の力は絶対的に必要で、会社の成長には不可欠だと確信しています。
初期導入
・寮の確保
・エアコンやテレビなどの生活家電
・Wi-Fi環境
・現場への送迎用車両
・生活指導員
給与体系イメージ
・ 特定技能(月額基本給)約24万円〜
※精勤手当・休日勤務手当・残業手当・技能手当は別途
・ 技能実習(月額基本給)約18万円〜

加工場での作業の様子
小川さんからの信頼も厚いニカさん

現場で働くみなさんの声

日本での仕事や生活、またこれからの目標について、特定技能1号として働く中国出身のニカさん、ソウさんにお話を伺いました。

画像:現場で働くみなさんの声
画像:倪 華(ニ カ)さん
特定技能2号になって、社長との夢を叶えたい!

倪 華(ニ カ)さん

来日してまず驚いたのが、あいさつの文化だったそうです。「スーパーで『おはようございます』『こんにちは』と声をかけてくれるのでびっくりしました」。そんなニカさんも、今では日本語能力試験 N1や1級鉄筋施工技能士を取得。「矢島社長から独立して工場を引き継いでほしいと言われ、夢の一つになっています」。現在は特定技能2号を目指しています。
画像:曾 正尭(ソウ セイギョウ)さん
社長に先生になってもらい、1級鉄筋施工技能士を取得!

曾 正尭(ソウ セイギョウ)さん

ソウさんは来日して今年で10年目になり、1級鉄筋施工技能士も取得しています。試験では矢島社長に付き合ってもらって問題集を繰り返し解いていたのだとか。「漢字はなんとなくわかったのですが、単語を覚えるのが大変でした」。日本のデジタルカメラがお気に入りで、今では風景の撮影が趣味に。「皇居や東京タワーを撮影しては母国の家族に送っています」。

受入企業の取組み

加工場 班長
小川 正樹 氏

私は鉄筋の加工場を担当していて、そこでも中国人の方々が活躍しています。日本人に負けず劣らず仕事熱心ですし、1級鉄筋施工技能士を取得している方も4名いて、大きな戦力となっています。そんな彼らと一緒に働くうえで気をつけているのが、仕事の伝え方です。当然ですが、来日したばかりの方になると日本語は話せません。そこで、例えば必要な鉄筋を取ってきてもらうときは、まず紙に書いて指示を出します。もちろん日本語は読めませんが、数字であれば問題なく理解してくれるので、鉄筋の太さと本数を書くんです。それだけでなく、置いてある場所にも一緒に行って「この材料を使って」と伝えます。その後の作業でも、鉄筋の切断をお願いしたのであれば、それが指示通りにできたかを確認しにいきます。つまり、とにかく一緒について回って確認してあげる。それが仕事を覚えてもらう一番の方法であり、危険を回避するうえでも絶対に必要なことだと考えています。彼らも仕事を覚えたいと思っているので、作業が終われば「次の仕事は?」と聞きにきてくれます。そうしたらまた指示を出して確認する。これが私の役割ですね。

距離を縮める工夫

私の場合、意識的にくだらない話をよくしていますね。休憩中や仕事終わりなどのちょっとした時間にこちらから声をかけ、本当にたわいもない雑談をするようにしています。日本語レベルが低い人だと会話自体は弾みませんが、彼らはわからないなりにつたない日本語で一生懸命に返答してくれようとします。また、表情だけでもリアクションをくれることも少なくありません。お互い言葉がわからないなりにコミュニケーションは取れていると感じています。

普段は明るい二人も作業が始まれば職人の顔に

受入れ検討企業へのアドバイス

私も受入れ当初は戸惑ったり、関係がギクシャクしたりしたこともありました。今思えば、自分が悪いところもあったと思うんです。それから十数年経ちますが、実際は我々日本人が彼らに教えるばかりではなくて、彼らから学ぶことがたくさんあります。今は彼らの協力なくして会社の利益は生まれないのも事実です。日本へ来てくれた彼らに協力してもらう。そんな感覚で接するとうまくいくはずです。

小川さんの“メモ“を元に打ち合わせ