JACマガジン

JACの取組み・活動レポート

2025/10/14

日本人従業員向け「外国人共生講座2025」やさしい日本語講座(基礎編) 開催レポート

JACでは、2025年5月から全6回の日本人従業員向け外国人共生講座を開催しています。2025年8月21日(木)に第3回目として、「やさしい日本語講座」の「基礎編」をオンラインで開催しました。

本講座は、2024年度にご好評をいただいた「やさしい日本語講座」をブラッシュアップし、現場に近い皆さまの声を反映してプログラムを構成しています。
現場で役立つ「やさしい日本語講座(基礎編)」の開催結果をレポートします。

講師は、(株)BREXA CrossBorder※の河元氏が務めました。

1回目の今回は、「外国人就労者に伝わりやすい"やさしい日本語"を理解する」を目標に講座が進められました。
※2025年7月1日付で、株式会社ORJは株式会社BREXA CrossBorderに社名が変更されました。

外国人就労者のリアルボイス!

今回大きく変わったことは、まずはじめに、ゲストスピーカーとしてのフィリピン人のベンさんの出演です。

ベンさんは、今は通訳者として日本語が堪能ですが、最初は技能実習生として日本で働いていました。その時の経験をもとに、外国人就労者が何に困っているのかを話してくださいました。

ベンさんは技能実習1年目の頃は、日本人からの指示の内容が早口で理解できなかったそうです。そしてそのまま仕事を進めてしまって怒られたそうですが、なぜ日本人が怒っているのか、その言葉の意味も理解できなかったそう。

そして、日本語がわからないから、外に出ることもあまりなく、「早く帰りたいな」と思いながら過ごしていたとのことです。

日本語が少しわかるようになったのは、2年目くらいから。いつも笑顔で優しく接してくれる日本人がいて、その人の雰囲気からわからないことを聞きやすく、簡単な日本語で教えてもらったことが、日本語の上達のきっかけだったとのことでした。

セミナー資料:やさしい日本語とは

やさしい日本語とは?

次に、河元講師によるやさしい日本語講座がはじまりました。

異なる文化を持つ人同士のコミュニケーションの手段として、やさしい日本語を使うことで、以下のようなメリットがあるとのことです。

  • 人間関係を作る
  • 職場の多国籍化に対応
  • 仕事の効率化
  • 本人のスキルアップ
  • 誤解による人間関係のトラブルが減る
  • 国籍にとらわれずに採用活動ができる
  • 外国人就労者の日本語力向上
  • 外国人就労者の自立、地域社会との共存

確かに、日本語でコミュニケーションをお互いに取ることができるようになると、仕事もプライベートも充実しますね。

「はさみ」の法則をマスターしよう!

セミナー資料:やさしい日本語のつくり方

やさしい日本語の作り方の「基本のき」である、「はさみ」の法則を学びました。

「は」っきり
「さ」いごまで
「み」じかく切って

話すのが「はさみ」の法則です。

  • わかりやすい単語で「はっきりと」と明瞭に伝える。
  • 最後まで(文末まで)言い切る。
  • 文は短く切り分ける。

話すときに、このような簡単な心がけだけで、ぐっと相手の理解度が増すそうです。
ぜひ、アーカイブ動画をご覧いただき、その方法を学んでください!

アーカイブ動画はこちら

やさしい日本語にしてみよう!

この講座は、ただ聞くだけではなく、実際に視聴者の皆さんに試していただけるように構成されています。講座のなかでの例題をひとつご紹介します。

『この紙をよく読んだらここに名前を記入して、とりあえずその辺に置いておいて。』

この文章を、やさしい日本語にしてみると、以下のようになります。

  • この紙を読んでください。
  • ここに名前を書いてください。
  • 私の机の上に置いてください。(曖昧ではなくはっきりと場所を特定する)

「はさみ」の法則どおりになっていますね。講師によると正解はない!とのことです。心をこめて易しい優しい言葉にすることが、やさしい日本語のようです。

ほかにも、いろんな意味を持つ日本語は避けることを学びました。例えば「いいよ」には、「OK」という意味だけでなく、「NO」という意味もあります。

日本語を母国語とする私たちは、前後の言葉や雰囲気で意味を理解できますが、来日したばかりの外国人には難しいとのことです。

セミナー資料:初級レベルに伝わる日本語(複数の意味を持つ言葉)

その他、下のスライドの「伝わりにくい日本語」を「やさしい日本語」にする実践も行われました。

セミナー資料:練習問題

これらの回答は、アーカイブ配信の28:00ごろにありますので、確認してみてください。
アーカイブ動画はこちら

今回の講座では、その他にも「どの程度のスピードで話すと伝わりやすいのか」などについても解説がありました。

一番印象的だったのは、講師の「言葉は伝える相手があってこそ意味があります。」ということばでした。

「やさしい日本語に変換しよう。」と構えるのではなく、相手のことをおもって、丁寧に(です・ます調)、ゆっくり話し、時には身振り手振りの動作もいれることが、やさしい日本語の基本だということを学びました。

まだまだ、JACの外国人共生講座は続きます。
どうぞ、お気軽にご参加くださいませ。
2025年度 日本人従業員向け「外国人共生講座」

お問合せ:(株)BREXA CrossBorder 担当:三浦
e-mail:
Tel: 090-3150-0562

本記事は、2025年8月21日(木)に開催した日本人従業員向け「外国人共生講座2025」の「やさしい日本語講座 基礎編」の開催レポートです。

セミナー動画

セミナー資料

セミナー資料_やさしい日本語講座(1) 基礎編250821.pdf
Q&A_やさしい日本語講座(1) 基礎編250821.pdf

日本人従業員向け「外国人共生講座」開催レポート

私が記事を書きました!

一般社団法人 建設技能人材機構(JAC) 管理部(兼)調査研究部 主任

加納 素子

かのう もとこ

愛知県出身。
広報・調査研究業務を担当し、SNSの中の人。
SNSでは、日本を好きになってほしい、日本から世界へ建設の魅力を伝えたい、世界から選ばれる日本の建設業でありつづけるためにという思いをもって日々更新中。
また、アジア諸国における技能評価試験の実施可能性などの調査業務に従事し、各国の現地機関とのヒアリングを行っている。

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