JACマガジン

外国人労働者との働きかた

2024/02/28

ミャンマーの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!

こんにちは、JAC(建設技能人材機構)の加納です。

ミャンマーは、仏教徒が多い東南アジアの国です。
ミャンマーでは各地に日本語学校が設立され、実は空前の日本語ブームが起きた国でもあります。
近年は、日本での就労を希望する若者も増えています。

今回は、ミャンマーの国民性について詳しく解説します。
国の特徴やコミュニケーションのコツも交えながらご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ミャンマーはどのような国?

ミャンマーは東南アジアのインドシナ半島の西部に位置する多民族国家です。
面積は日本の約1.8倍で、人口は約5,417万人(2022年時点)。

昔は「ビルマ」という国名でしたが、1989年に「ミャンマー」に変更されました。
また、首都は2006年に「ヤンゴン」から「ネピドー」に変更されています。
なお、現在でもヤンゴンはミャンマー最大都市として栄えています。

135民族が集まった多民族国家ですが、約9割が仏教徒です。
ミャンマーの仏教は、戒律を厳格に守ることを重んじ、特に僧侶に対しては深い敬意を表すという特徴があります。

公用語はビルマ語(ミャンマー語)で、135民族の共通言語となっています。
文法が日本語に似ているという特徴があり、各地に日本語学校が設立されたことも影響して、ミャンマーでは日本語を学習する人が多いです。

軍事クーデターなどによる情勢不安もあり、賃金水準はアジアの中では最低水準に位置しているのが現状です。
国内の混乱が続いていることから、国外での就労を求める人も増えています。

ミャンマーの主要な3つの祝祭日

ミャンマーの主要な祝祭日は「水かけ祭り(ティンジャン)」「カソン満月」「ダディンジュ満月」。
すべて仏教を由来としています。

水かけ祭り

「水かけ祭り」はミャンマー最大の祝日で、開催は毎年4月13日~16日。
ミャンマーでは日本でいう元日にあたるのが4月17日であり、その前に水をかけることで1年の不幸や穢れを洗い流し、4月17日から新年を迎えるとの意味が込められています。

日本とは異なり、1月1日は特にお祝いはせず、仕事や学校も通常通りあります。

カソン満月

「カソン満月」は菩提樹の下でブッダが悟りを得た日といわれており、開催は毎年5月の満月の日。
ブッダが誕生・入滅・悟りを開いたことを祝うもので、菩提樹に聖水をかける儀式を行います。

ダディンジュ満月

「ダディンジュ満月」は雨安吾(うあんご)が明けたことを祝う日で、開催は毎年10月の満月の日。
雨安吾とは、雨季に僧侶が外での修行をやめて寺で修行をすることを指す言葉です。

天界での説教を終えて地上に戻ってくるブッダの足元を明るく照らすという意味を込め、家の玄関先やベランダにろうそくや提灯を灯したり、灯明祭が行われたりします。
家族で過ごすミャンマー人も多い祝祭日です。


職場にミャンマー出身のスタッフがいる場合は、上記のような祝祭日の際に一時帰国が必要になる可能性もあることを覚えておきましょう。

ミャンマーの人の性格や価値観は?国民性を知ろう

ミャンマーの人は非常に優しく、困っている人がいれば助ける人が多いといわれています。
仏教の輪廻転生の思想がベースにあるため、困っている人には進んで手を差し伸べる考え方が強いです。
その考え方から、頼まれごとも基本的には引き受けてくれる人が多い傾向があります。

また、目上の人を敬う人が多く、思いやりがあります。
家族や友人を非常に大切にするため、冗談であっても人をからかうような言葉は厳禁です。

日本人との価値観の違いが大きいのが、あいさつです。
ミャンマーにはもともと、あいさつの言葉がないため、あいさつの習慣があまりありません。

特に日本人が驚くことが多いのが、一緒に食事をして代金をすべて払った人に対して、「ごちそうさまでした」や「ありがとうございました」などと伝える習慣がないことです。

これは、ミャンマーの人が率先して寄付を行うことに由来しています。
寄付は「徳を積む」行為だと考えられており、ミャンマーの人は率先して寄付をします。

「お金を持っている人が支払うのは当たり前のこと」「お金を支払う行為は、その人が徳を積むための行為なので感謝の気持ちを表す必要はない」という考え方が根底にあるため、感謝の気持ちを表現することが少ないのです。
日本人にとっては驚きが大きい考え方かもしれません。

ほかにも、ミャンマーの人は男性は男性らしく、女性は女性らしくという考え方をもつ人が多いです。
そのため、特に女性は控えめで恥ずかしがりやな人が多いといわれています。

日本では、話すときは相手の目を見て話すよう指導されることが多いですが、逆にミャンマーの人は失礼にあたると考える人もいる、というのも日本との違いです。

ミャンマーの文化や考え方との違いはありますが、ミャンマーは東南アジアの中でも親日国といわれるほど、日本が好きな人が多い国でもあります。
ミャンマーの人の性格は日本人とも似ているところが多いので、職場などでもコミュニケーションがとりやすいでしょう。

ミャンマーのほか、インドネシアやフィリピン、ベトナムの国民性についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

タイの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
ネパールの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
ベトナムの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
フィリピンの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
インドネシアの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!

ミャンマー出身のスタッフとうまく仕事を進めるために

ミャンマー出身のスタッフと円滑に仕事をするため、コミュニケーションを取る際に意識したいことが3つあります。

ミャンマー人スタッフと一緒に働き始める前に、社内で共有しておくと良いでしょう。

①強く叱らない

1つ目は、強く叱らないことです。

ミャンマーの人は、「温和であることが尊い」とされ、叱られることがあまりありません。
そのため、叱られることにも慣れていない人がほとんどです。

強く叱責すると大きなショックを受けてしまうため、ミスを指摘する際は「冷静に、わかりやすく」伝えましょう。

②無理をしていないか確認をする

2つ目は、無理をしていないか確認し、気遣うことです。

ミャンマーの人は、頼まれたことは断らない人が多いといわれています。
また、言われたことは忠実にこなすという傾向も強いため、仕事を引き受け過ぎてしまうこともあります。

あまり自己主張が強い国民性ではないため、自分から悩みや困っていることは言いにくい...と感じる人も。

悩みや困っていることがないかを聞き出してあげると、答えやすくなります。
無理をしていないか声をかけ、フォローをしてあげると良いでしょう。

③わかりやすい日本語で話す

3つ目は、わかりやすい日本語を使うことです。
ミャンマーの人は日本語を学んでいる人も多いですが、方言や略語は難しいものです。

また、仕事上で使う専門用語なども耳慣れない言葉なので、あらかじめ、わかりやすい表現をピックアップしておくとスムーズでしょう。

日本特有の表現である和製英語は、外国人には伝わらないので特に注意したい表現です。

例えば和製英語には、次のようなものがあります。

和製英語 英語
ノートパソコン ラップトップ
タッチパネル タッチスクリーン
コンセント アウトレット
ホチキス ステープラー

まとめ:温和で勤勉なミャンマー人の国民性。価値観の違いも理解しよう

ミャンマーは仏教徒がほとんどを占める国で、思いやりがある人が多く、温和で言われたことはしっかりとこなす国民性です。
日本人にも通じるところがあり、親日国でもあることから、日本人との相性も良いといわれています。

あいさつの言葉がないという違いはありますが、文法的に日本語と似ているので、日本語の習得は早い傾向にあります。

ミャンマーの人が新年を祝う4月、ダディンジュ満月で家族が集まることも多い10月あたりは、一時帰国も必要になることがあるかもしれません。

一緒に働く際は、強く叱らないこと、無理をしていないかを確認することなどを意識しながら、良い関係を築いていけると良いですね。

ミャンマー人の雇用形態としては、特定技能があります。
一定の技能や日本語能力を持っていることが必要条件の在留資格なので、即戦力が欲しい企業様はぜひご検討ください。

日本人向け外国人共生講座「ミャンマーを知る」を開催!

JACでは「外国人スタッフと円滑に仕事を進めるために理解しよう!」を目的に「外国人共生講座」を開催しています。

第3回目となる2023年12月14日の外国人共生講座は、「外国人共生講座(ミャンマー)」(講師:野々山直樹氏)。

ミャンマーの歴史や国民性、食文化などの紹介に加え、実際にミャンマー人を受け入れる際の注意やポイントなどを解説しました。

参加企業様からは、本記事で解説した国民性についてや、出稼ぎに関するご質問をいただきました。

Q:ミャンマーの方は日本の他にどのような国に出稼ぎにいくことがあるか
→日本と比較すると言語の習得が不要ということから、タイ、マレーシア、シンガポールが多い。ただ、日本の方が遥かに稼げる部分もあり、現地では日本語教育ブームが起こっている。

Q:日本に実習に来る若者はどのような思想を持つ方が多いか。複数人雇用すると思想の違いでトラブルが起きないか心配
→仏教に対する思想は変わらない。寂しがりな部分もあり、逆に複数人いた方が調和はとれるのではないか。

Q:ミャンマー人特有のトラブル事例はあるか
→少し臆病かつプライドが高い人間性であり、人前での𠮟責からふさぎ込んでしまうケースもある。また、家電製品が普及していないため、電子レンジの使用方法がわからずステンレス製品を加熱してしまったなど、家電に対する教育が必要。

Q:業務以外で、社内のイベントなどは積極的に参加したいと思う方が多いか
→積極的に参加したいという人が多い。あまり娯楽がない国であり、社内イベントなど初めての経験で喜んで参加してくれるのではないか。

セミナー動画や資料、質問への回答等、「外国人共生講座見逃し配信・資料」からご覧いただけます。
参加できなかった方は、ぜひご覧ください。

講座に関しては、次のような感想をいただいています。

  • 国の特徴等、大変分かりやすく、充分理解出来た
  • 普段なかなか情報のない国について、詳細を知れて興味深かった
  • 来年ミャンマーからの技能実習生を迎えるので、とてもためになりました
  • 明確でネット検索以外の情報も聞けた

ミャンマー人共生講座のほか、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ネパール、タイに関する講座を開催します!
上記の国からの特定技能外国人の受入れを検討中の企業様は、ぜひチェックしてください。

今後も、皆さまのニーズに応じてお役に立つセミナーを開催してまいります!
【オンライン無料講座】外国人従業員となかなかうまくいかない! どうする??

建設業界で特定技能外国人の受入れをお考えの企業様は、JACにお気軽にご相談ください!

※この記事は2024年1月の情報で作成しています。

私が記事を書きました!

一般社団法人 建設技能人材機構(JAC) 管理部(兼)調査研究部 主任

加納 素子

かのう もとこ

愛知県出身。
広報・調査研究業務を担当し、SNSの中の人。
SNSでは、日本を好きになってほしい、日本から世界へ建設の魅力を伝えたい、世界から選ばれる日本の建設業でありつづけるためにという思いをもって日々更新中。
また、アジア諸国における技能評価試験の実施可能性などの調査業務に従事し、各国の現地機関とのヒアリングを行っている。