JACマガジン

特定技能制度のポイント解説

2023/10/03

特定技能2号とは?1号との違いや取得方法もご紹介

こんにちは、JAC(建設技能人材機構)の加納です。

現在、受け入れている特定技能1号外国人に、できる限り長くいてほしいという受入企業様は多いでしょう。

特定技能は比較的新しい在留資格であるため、特定技能2号を取得している外国人は非常に少ないです。

そこで今回は、特定技能1号と特定技能2号の違いや、特定技能2号を取得する方法について紹介します。

特定技能2号とは?特定技能制度についても確認

建設現場の人手不足解消のため、2018(平成30)年の臨時国会において、入国管理・難民認定法が改正され、創設されたのが「特定技能」という新しい在留資格です。

特定技能は建設現場に限らず、人手不足が深刻な特定産業分野で外国人を受け入れる制度です。
特定技能では、日本人と同等の待遇で外国人を受け入れることとなっています。

これまでは実習修了後は母国に帰っていた技能実習修了者も、再度呼び寄せて直接受け入れることができるようになりました。


特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。

2024年(令和6年)5月現在、特定技能1号で受入可能なのは以下の16分野です。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業

このうち、特定技能2号で受入可能な分野は、介護、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業を除く11分野です。

これまで特定技能2号は、建設分野および造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていました。
それが2023年(令和5年)の閣議決定により、対象が拡大。
2023年時点では、介護分野を除く全ての産業分野で特定技能2号の受入れが可能となりました。

「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野は、2024年(令和6年)3月の閣議決定により新たに追加された産業分野で、まずは特定技能1号からの受入れとなります。
そのため、2024年5月現在、特定技能2号の受入れはできません。

尚、2024年(令和6年)3月の閣議決定では、「工業製品製造業分野」「造船・舶用工業分野」「飲食料品製造業分野」で新たな業務も追加されていますが、「工業製品製造業分野」で追加された業務については、2024年5月現在、特定技能2号の受入れはありません。

特定技能2号は特定技能1号とどう違う?

特定技能2号になると特定技能1号とどのような点が変わるのでしょうか。
2号と1号、それぞれの違いについて技能水準や在留期間、日本語能力について比較してみます。

  特定技能2号 特定技能1号
資格の概要 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向け 特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向け
在留期間 3年、1年または6カ月ごとの更新、上限なし 1年、6カ月または4カ月ごとの更新。通算で上限5年まで
技能水準 試験等で確認 試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等免除)
日本語能力水準 試験等での確認は不要 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した外国人は試験等免除)
家族の帯同 要件を満たせば可能(配偶者、子) 基本的に認められない
受入機関または登録支援機関による支援 対象外 対象

特定技能2号の「熟練した技能」は、長期間の実務経験等から熟練した技能を身に付けており、現場の作業者のリーダーとなって指示や監督ができる水準が求められます。

一方で、特定技能1号の「相当程度の知識または経験を必要とする技能」とは、特別な訓練等を受けることなく、一定レベルの業務を遂行できる水準です。
特定技能1号へは、技能実習2号を良好に修了することでも移行が可能です。

特定技能と技能実習の違いについては「特定技能と技能実習の10個の違い。長所や注意点も知って検討を」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

特定技能2号の取得要件や取得方法をご紹介

特定技能2号を取得するには、①特定技能2号評価試験、もしくは技能検定1級に合格すること、②監督・指導者として一定の実務経験を積むことの2つを満たす必要があります。
試験内容や求められる実務経験は分野によって異なります。

例えば、建設分野では「熟練した技能を有する外国人」に対しては、以下の2つの要件を満たすことで特定技能2号の取得が可能です。

  • 班長としての一定の実務経験(建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験)
  • 技能検定1級の水準に相当する建設分野特定技能2号評価試験(実施主体:JAC)合格または技能検定1級の取得

ちなみに特定技能1号は、特定技能測定試験とあわせて日本語能力を確認するための試験に合格することが条件ですが、特定技能2号の場合は在留資格を得るために、日本語試験の受験は必要ありません。

建設分野特定技能2号評価試験(実施主体:JAC)の実施状況に関しては「建設分野特定技能評価試験ページ」をご確認ください。

まとめ:特定技能2号の取得要件は2つ。1号との違いも知っておこう

特定技能は、日本における人材不足解消を目的につくられた在留資格のことです。
特定技能には特定技能1号、特定技能2号があります。

特定技能1号と2号の違いは、求められる技術のレベルにあります。
特定技能2号のほうが、より高度な技術が求められます。

特定技能2号を取得するには、①特定技能2号評価試験、もしくは技能検定1級に合格すること、②監督・指導者として一定の実務経験を積むことの2つを満たす必要があります。
建設業界で特定技能外国人の受入れをお考えの企業様は、JACにお気軽にご相談ください!
特定技能外国人のご紹介も行っております。

※この記事は2024年5月の情報で作成しています。

私が記事を書きました!

一般社団法人 建設技能人材機構(JAC) 管理部(兼)調査研究部 主任

加納 素子

かのう もとこ

愛知県出身。
広報・調査研究業務を担当し、SNSの中の人。
SNSでは、日本を好きになってほしい、日本から世界へ建設の魅力を伝えたい、世界から選ばれる日本の建設業でありつづけるためにという思いをもって日々更新中。
また、アジア諸国における技能評価試験の実施可能性などの調査業務に従事し、各国の現地機関とのヒアリングを行っている。

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