JACマガジン

外国人労働者との働きかた

2024/04/12

タイの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!

こんにちは、JAC(建設技能人材機構)の加納です。

タイは、東南アジア・インドシナ半島の中央に位置する国です。

アユタヤ、チェンマイ、バンコク、プーケットなど、日本人に人気の観光地も多いため、行ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。

今回は、タイの国民性について詳しく解説します。
国の特徴やコミュニケーションのコツも交えながらご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

タイとはどのような国?

タイは、東南アジア・インドシナ半島の中央に位置する国で、ラオスやカンボジア、マレーシア、ミャンマーなどと国境を接しています。

国土面積は日本の約1.4倍の51万4,000km2、人口は6,609万人(2022年タイ内務省)です。
首都はバンコクで、成田空港から7時間ほどの場所。
年間平均気温は35℃と暖かく、6~10月は雨季に入ります。

公用語はタイ語で、95%以上が仏教を信仰しています。
タイの仏教は上座部仏教※で、男子は出家して一人前になるという習慣があります。
※東南アジアを中心に信仰されている宗教。出家し、修行を積むことで解脱(さまざまな悩みや苦しみなどから解放されること)できると説かれている。

出家期間は3カ月程度が一般的ですが、短い場合は1週間程度など、人によってさまざまです。
出家は旧暦の8~10月に多い傾向ですが、日本で仕事をしている場合、出家のために帰国をするというケースは少ないでしょう。

タイは東南アジアでは唯一植民地支配を受けなかった国で、長い王国の歴史があります。

タイ史上最も国民に愛されたといわれているプミポン国王(ラーマ9世)は、2016年に崩御するまで70年間王位についていました。
プミポン国王の頃に日本の皇室と深い親交を結んでおり、タイが「親日国」といわれるゆえんとなっています。

軍事クーデターが続き、政権が不安定な時期もありましたが、2024年現在は多くの外資系企業が進出し、近代化が進んでいます。
なかでも製造業の発展はめざましく、GDPの30%を占めるほど。
日系企業も多く、常駐している日本人は約8万人といわれています。

タイ国内の日系企業で働くタイ人も多く、日本人は遠くない存在といえるでしょう。

タイでは男性は21歳になると徴兵検査を受ける義務があり、身体検査合格者の中からくじ引きで入隊が決まるため、その年齢に達していない場合は一旦帰国となってしまう可能性があります。
3年以上軍事予科訓練の授業を受けていた場合など、兵役免除になっているケースもあるので、雇用の際は事前に確認しておきましょう。

タイの人の性格や価値観は?国民性を知ろう

タイは「微笑みの国」と呼ばれているイメージの通り、おおらかで陽気な人が多いといわれています。
仏教徒が多く、徳を積む行為を行うことで来世が良くなるという信仰が強いため、人助けを積極的に行い、人間関係を大切にする温和で親切な人が多いです。

なかでも、タイの人の考え方で特徴的なのは「マイペンライ」の精神です。

マイペンライとは、日本語の「どういたしまして」や「気にしないで」「どんまい」「大丈夫」にあたる言葉で、タイの人の前向きな明るさを感じさせます。

タイの人がミスをしてしまったり、悩んだりしているときに「マイペンライ」という言葉をかけると、ポジティブに考えられるようになるという魔法の言葉といわれています。

親日国であり、日本が好きな人が多いですが、外国語を習得している人の割合は多くはありません。
タイの人に限りませんが、雇用する際は、日本語がどの程度使えるか事前にきちんと確認しておきましょう。

ただ、日本語が少し苦手であっても、人柄の良さや前向きでポジティブな姿勢で、職場の中でも上手に人間関係を築いてくれる人が多いでしょう。

国民性やコミュニケーションのコツについて、インドネシアやフィリピン、ベトナム、ミャンマー、ネパールもご紹介しています。
ぜひ参考にしてください。

ネパールの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
ミャンマーの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
ベトナムの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
フィリピンの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!
インドネシアの国民性とは?性格やコミュニケーションのコツを紹介!

タイ出身のスタッフとうまく仕事を進めるために

タイ出身のスタッフと円滑に仕事をするには、意識したいことが4つあります。
一緒に働き始める前に、社内で共有しておくと良いでしょう。

①短期の目標を立てる

1つ目は、目標は短期で達成できるものにするということです。

タイの人はお伝えした「マイペンライ」の精神が強いため、目標に達していなくても「まぁ、なんとかなるか」と考える傾向もあります。
そのため、長期的な目標を立てるよりも、短期で達成できる目標を設定するほうが向いているといえるでしょう。

②仕事に対する考え方のすり合わせ・円滑に進める工夫をする

2つ目は、仕事に対する認識や価値観のすり合わせをするということです。

日本は仕事に対して「責任」を重視しますが、タイの人は責任がさほど重要ではないと考える傾向にあります。

また、仕事よりも家族や友人との時間を重視する人が多いため、例えば昇進をすることで家族との時間が少なくなるのであれば、考えたいというケースもあるかもしれません。

考えを尊重しながら、守るべき会社の考え方やルールについては一つずつ丁寧に伝え、すり合わせを行う必要があります。

そして、タイの人は上下関係を大切にし、向学心が強い国民性といわれていますが、時間にややルーズな一面もあります。
仕事の締め切りは細かく設定したり、前倒しをしたりして、円滑に業務を進められる工夫をすると良いでしょう。

③わかりやすい日本語で話す

3つ目は、わかりやすい日本語を使うことです。

タイ出身のスタッフは、日本語が話せる人はあまり多くありません。
日本語の専門用語や方言、略語は大変難しいため、できるだけ使わないほうが良いでしょう。

日本特有の表現である和製英語は、外国人には伝わらないので特に注意したい表現です。
例えば和製英語には、次のようなものがあります。

和製英語 英語
ノートパソコン ラップトップ
タッチパネル タッチスクリーン
コンセント アウトレット
ホチキス ステープラー

④人の前で叱責しない

4つ目は、指導方法に気を付けることです。

タイの人は、複数の人の前で叱責されたり、大声で注意されたりすることを大きな屈辱と感じます。

また、怒ることは良くないことと考えるため、怒っている人を「未熟な人」と考えることがあります。
このような印象を抱かれてしまうと、信頼関係が築きづらくなってしまいます。

指導をする際は、本人だけを別室に呼び、静かなトーンで「注意をしている理由」がわかるように話をするといった配慮を心がけましょう。

まとめ:温和で優しいタイ人の国民性。前向きで明るい性格も特徴

タイには、温和で優しい人が多いといわれています。
「マイペンライ」の精神で「なんとかなるさ」と前向きに考え、進んでいける人が多いのも特徴のひとつです。

日本とタイの関係は良く、親日家も非常に多いです。
日系企業も多数進出しており、タイの人にとって日本は遠くない存在だといえます。

信仰心が厚い仏教徒が多いタイでは、男子は出家をして一人前という考え方がありますが、日本の仕事を休んでまで出家のために帰国するケースは多くないでしょう。

ただし21歳の男性には徴兵制があり、くじ引きで決まると帰国せざるを得ないため、21歳に達していない男性を採用する際には事前の確認が必要です。

タイ人の雇用形態としては、特定技能があります。
一定の技能や日本語能力を持っていることが必要条件の在留資格なので、即戦力が欲しい企業様はぜひご検討ください。

日本人向け外国人共生講座「タイを知る」を開催!

JACでは「外国人スタッフと円滑に仕事を進めるために理解しよう!」を目的に「外国人共生講座」を開催しています。

第6回目となる2024年2月15日の外国人共生講座は、「外国人共生講座(タイ)」(講師:伊織 大昌氏)。

タイの歴史や国民性、働き方の特徴などの紹介に加え、実際にタイ人を受け入れる際の注意やポイントなどを解説しました。

参加企業様からは、タイの宗教や日本語教育に関するご質問をいただきました。

Q:宗教上配慮が必要なことはあるか
→仏教では頭を触ってはいけないという考え方がある。絶対に触らないこと。

Q:日本語教育は盛んか
→他国と比べると、そこまで日本語教育は盛んではない。

Q:文法や発音などは日本語と似ているか
→文法は似ておらず、どちらかというと英語に近い。
日本語の発音は難しくないが、タイ語の習慣から語尾が上がることがある。

セミナー動画や資料、質問への回答等、「外国人共生講座見逃し配信・資料」からご覧いただけます。
参加できなかった方は、ぜひご覧ください。

講座に関しては、次のような感想をいただいています。

  • タイ人の性格や付き合い方についてリアルな話を聞けた
  • タイ人実習生を受け入れている企業や組合が身近になかったが、知る機会ができて良かった
  • 地域、文化的なことだけでなく、押さえておくべき注意点の説明が良かった
  • 日本の歴史では習わないことがたくさんあり、その国について知ることができるので、毎回楽しく受講することができた  など

タイ人共生講座のほか、インドネシア、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、ネパールに関する講座に関するセミナーを不定期に開催しています。
終了したセミナーは、セミナー動画も公開しています。

上記の国からの特定技能外国人の受入れを検討中の企業様は、ぜひチェックしてください。

今後も、皆さまのニーズに応じてお役に立つセミナーを開催してまいります!
【オンライン無料講座】外国人従業員となかなかうまくいかない! どうする??

建設業界で特定技能外国人の受入れをお考えの企業様は、JACにお気軽にご相談ください!

※この記事は2024年3月の情報で作成しています。

私が記事を書きました!

一般社団法人 建設技能人材機構(JAC) 管理部(兼)調査研究部 主任

加納 素子

かのう もとこ

愛知県出身。
広報・調査研究業務を担当し、SNSの中の人。
SNSでは、日本を好きになってほしい、日本から世界へ建設の魅力を伝えたい、世界から選ばれる日本の建設業でありつづけるためにという思いをもって日々更新中。
また、アジア諸国における技能評価試験の実施可能性などの調査業務に従事し、各国の現地機関とのヒアリングを行っている。