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STOP! 建設業務に就く職業の有料職業紹介は原則として禁止されています
ご存知ですか?
有料職業紹介事業者が、建設業務に就く職業の求職者を紹介することは、職業安定法により制限されています。
職業安定法では、同法32条の11第1項において、有料職業紹介事業者が土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務(「建設業務」といいます。)に就く職業の求職者を紹介することを禁止しています。
同法では、同様に港有料職業紹介事業者が湾運送業務に就く職業の求職者を紹介することも禁止しており、有料職業紹介事業者の取り扱うことができる範囲から、建設業務、港湾運送業務に従事する求職者の紹介を除外しています。
有料職業紹介の範囲から「建設業務」が除かれる理由?
「建設業務」は、有料職業紹介事業者が紹介することができる職業の範囲から除外されています。「建設業務」が除外されているのは、有料職業だけではなく、労働者派遣事業においても除外されています(労働者派遣法4条1項2号)。
その理由は、「建設業務については、現実に重層的な下請け関係の下に業務処理が行われている中で、建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和51年法律第33号)により、労働者を雇用する者と指揮命令する者が一致する請負という形態となるよう雇用関係の明確化、雇用管理の近代化等の雇用改善を図るための措置が講じられており」そういった措置に委ねる方が適切であるからとされます(労務行政研究所『改定2版 労働者派遣法』207ページ)。この理由は、労働者派遣事業の対象とならない理由を説明したものですが、既に講じられている措置に委ねた方が適切であるという点は、有料職業紹介事業の対象から除外される理由としても一部妥当すると思われます。
有料職業紹介の対象範囲外となる「建設業務」の範囲とは?
建設業務は、「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」をいいます。そして、これらの業務は建設工事の現場において、直接にこれらの作業に従事するものに限られます。
そのため、建設現場の事務職員が行う業務に就く職業や、土木建設等の工事についての施工計画を作成し、それに基づいて、工事の工程管理(スケジュール、施工順序、施工手段等の管理)、品質管理(強度、材料、構造等が設計図書どおりとなっているかの管理)、安全管理(従業員の災害防止、公害防止等)等工事の施工の管理を行ういわゆる施工管理業務は、建設業務に該当せず、有料職業紹介事業を行うことができることになります(令和5年4月厚生労働省職業安定局「職業紹介事業の業務運営要領」13ページ)。
違反した場合の罰則とは?
前述のとおり、建設業務の有料職業紹介は職業安定法32条の11第1項により禁止されています。
第三十二条の十一 有料職業紹介事業者は、港湾運送業務(中略)に就く職業、建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)に就く職業その他有料の職業紹介事業においてその職業のあつせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業を求職者に紹介してはならない。
② 第五条の五第一項及び第五条の六第一項の規定は、有料職業紹介事業者に係る前項に規定する職業に係る求人の申込み及び求職の申込みについては、適用しない。
32条の11第1項に違反する場合、その事業者は以下の法64条4号に該当するので、1年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
第六十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
四 第三十二条の十一第一項の規定に違反した者
事業者が法32条の11第1項に違反して、建設業務の有料職業紹介を行っている場合、厚生労働大臣は、法48条の2(指導助言)及び法48条の3(改善命令等)を行うことが可能です。そして、法48条の3第1項に基づく命令に違反した場合、法65条により6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
第四十八条の二 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者に対し、その業務の適正な運営を確保するために必要な指導及び助言をすることができる。
第四十八条の三 厚生労働大臣は、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者又は労働者供給事業者が、その業務に関しこの法律の規定又はこれに基づく命令の規定に違反した場合において、当該業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、これらの者に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
② 厚生労働大臣は、求人者又は労働者供給を受けようとする者が、第五条の三第二項若しくは第三項の規定に違反しているとき、若しくは第五条の五第三項の規定による求めに対して事実に相違する報告をしたとき、又はこれらの規定に違反して前条の規定による指導若しくは助言を受けたにもかかわらずなおこれらの規定に違反するおそれがあると認めるときは、当該求人者又は労働者供給を受けようとする者に対し、第五条の三第二項若しくは第三項又は第五条の五第三項の規定の違反を是正するために必要な措置又はその違反を防止するために必要な措置を執るべきことを勧告することができる。
第六十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
七 第四十八条の三第一項の規定による命令に違反した者
このように、建設業務の有料職業紹介は法律で原則として禁止されているものであり(※)、求人側の企業さまにおいても、法に違反している事業者からの職業紹介を受けることがないように注意する必要があります。
※建設業務有料職業紹介事業として適法に行うことができる場合もあります。
外国から建設業務に関する有料職業紹介の勧誘を受けた場合は?
本来、国外に所在する求人者と国内に所在する求職者との間又は国外に所在する求職者と国内に所在する求人者との間における雇用契約の成立のあっせんを行うことは、国外にわたる職業紹介として、その行為の一部が日本で行われる場合は、職業紹介の許可を取得した事業者が行う必要があります。
国外の機関が日本の求人者に対して勧誘をする場合、当該機関が有料職業紹介の許可等、必要な許可を有していない可能性もあります。
ところが、国外の法人に対して日本の職業安定法に基づいて処分することは困難であり、処分されないことが想定されます。
しかし、決して容認されるものではありませんね。
★ 対応策 ★
「日本の法律では、建設業務の求職者を有料で紹介することは、禁止されています。」とはっきり断りましょう。 そのような事案が発生した場合は、お近くの労働局にご相談ください。
日本の職業紹介会社からオファーが来たらどうすれば良いですか?
先日、建設企業の方からJACへ「特定技能外国人を40〜45万円で紹介します、という電話がありました」と情報提供をいただきました。
このような有料の人材紹介があった場合は、不審な電話だと思ってください。
「建設業務の職業紹介は無料ですよね?」と一声かけると電話が切れることが多いようです。
「受入負担金の支払い、申請・手続き・受入れ後までさまざまなサービス込みで対応する」といった電話もあるようですが、受入負担金は受入企業さまからJACもしくは加入の正会員団体へ支払うことになっています。
そのため人材紹介会社へ支払うことは絶対にありません。
申請などの手続きも受入企業さまがするものです。
在留資格の手続を取次者に依頼することも可能ですが、弁護士または行政書士等の法律で取次を行うことが認められた法人・個人に限られます。
正しい知識を持っていることが先方に伝われば、執拗にアプローチしてくることはないでしょう。
被害に遭わないよう、少しでも「おや?」と思った場合はJACコールセンターへお気軽にご連絡ください。
【お問い合わせ先】
(一般社団法人)建設技能人材機構(JAC)コールセンター
Tel: 0120-220353(平日:9:00〜17:30)
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「特定技能外国人を40~45万円で紹介します」といった電話が入電中
2022年12月06日加筆修正
私が記事を書きました!
弁護士法人Global HR Strategy
代表社員弁護士
杉田 昌平
すぎた しょうへい
弁護士(東京弁護士会)、入管届出済弁護士、社会保険労務士。慶應義塾大学大学院法務研究科特任講師、名古屋大学大学院法学研究科日本法研究教育センター(ベトナム)特任講師、ハノイ法科大学客員研究員、法律事務所勤務等を経て、現在、弁護士法人Global HR Strategy 代表社員弁護士、独立行政法人国際協力機構国際協力専門員(外国人雇用/労働関係法令及び出入国管理関係法令)、慶應義塾大学大学院法務研究科・グローバル法研究所研究員。