JACマガジン

特定技能制度のポイント解説

2023/11/13

特定技能外国人採用の面接でどんな質問をするべき?質問例や注意点をご紹介

こんにちは、JAC(建設技能人材機構)の加納です。

特定技能外国人を受け入れる際、面接ではどのような質問をすれば良いのでしょうか。
文化や価値観が違う外国人だからこそ、聞くべきことや注意点などは知っておきたいものです。

今回は、特定技能外国人を採用する際の面接についてお話しします。
最初に確認するべきことや質問例、注意点についてもご紹介します。

特定技能外国人の面接をする際のスタイルは?

特定技能外国人の面接は、対面式での面接のほか、オンライン形式での面接も行われています。
面接を受ける外国人が遠方に住んでいる場合も多く、近年はオンライン形式での面接が増えています。

通常は、受入企業の採用担当者が面接を受ける外国人と面談します。
そのほか、送り出し機関のスタッフや通訳、受入企業に外国人が働いている場合は外国人従業員が同席することもあります。

在留資格「特定技能」を取得している特定技能外国人であれば、日本語能力試験でN4以上相当の日本語能力を有していますが、日本語能力試験は読み・書きの力を見る試験。
会話については苦手な外国人も多いです。

面接時は、就労条件など難しい内容も含まれるため、間違いや認識のズレがないように、送り出し機関の方に通訳を依頼すると安心です。

面接のほか、実技試験を行うことも可能です。
どのくらいの技術を持っているのか確かめたい場合は、職場見学も兼ねて、一度作業を見せてもらいましょう。

面接はほとんどの場合2~3回にわたって行われますが、1回で採用を決めるケースもあります。

特定技能外国人の面接での確認事項・質問例は?

特定技能外国人を受け入れる場合、必ず確認しておかなければならない事項もあります。
しっかりと確認をしておかないと、後々トラブルに発展するおそれもあるため、これから紹介することについては必ず最初に確認をしましょう。

面接時の具体的な質問例もご紹介します。

特定技能外国人の面接で確認が必要なこと

特定技能外国人の面接では、在留カードの内容や日本語能力の証明など、確認すべき事項があります。
次でご紹介する確認事項以外に、身分証明書としてパスポートも持参してもらいましょう。

在留カードの項目が就労できるものか

外国人を受け入れる時には、在留資格の確認が必要です。 在留資格を持たない外国人を受け入れた場合、法的措置を取られることもあります。

在留カードは、以下の項目について確認をします。

  • 在留カード番号:番号が失効していないか
  • 在留資格:特定技能(1号・2号)と記載されているか
  • 有効期限:期限切れがないか
  • 資格外活動許可:許可済の場合は「許可」の記載有り

なお、特定技能に切り替え予定の留学生や技能実習生を面接する場合は、在留資格が「留学」や「技能実習」になっていればOKです。

在留カード番号が失効していないかについては「出入国在留管理庁在留カード等番号失効情報照会」で確認ができます。

雇用分野の特定技能1号技能測定試験に合格しているか

特定技能で働くためには、分野ごとに受けなければならない試験があります。
例えば建設分野の場合は、建設分野1号技能評価試験に合格する必要があります。
合格している試験が雇用したい仕事の分野であることも確認しましょう。

また、在留カードの偽造もあるようです。
在留カードや技能評価試験の合否だけでなく、特定技能の取得に必要な日本語能力があるかも、きちんと在留資格を得ているかの判断材料にしましょう。

日本語能力試験の結果がN4以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テストの合格証明が必要です。

あらかじめ、面接時に持参してもらうよう伝えると良いでしょう。
成績書類が正規のものかを調べる場合は、試験の実施団体に問い合わせを行います。

ただし、技能実習2号を良好に修了している場合は、日本語能力試験が免除されています。

特定技能外国人の面接をする際の質問例

面接の際には、志望動機や日本に来た理由、この会社・仕事を選んだ理由、働く上での希望などの基本部分から質問すると良いでしょう。

ほかにも、その人自身を知る質問、仕事に対する熱意や向上心を知る質問を交えると、一緒に上手く働いていけるかを判断しやすいです。

では、質問例をご紹介していきます。

志望動機や希望の条件を知る質問例

  • なぜ日本で働くことを選んだのですか
  • 日本にどのくらい滞在したいですか
  • この会社で働きたいのはなぜですか
  • どんな仕事がしたいですか
  • どのくらい働きたいですか・給料はどのくらい欲しいですか
  • いつから働けますか

受入企業とのミスマッチを防ぐために、志望動機や受入条件については、お互いの認識のすり合わせを行いましょう。

質問するだけでなく、会社の方針や目標、行ってもらいたい仕事内容などを伝え、理解してもらったうえで答えてもらうことも大事です。

面接者自身を知るための質問例

  • あなたの得意なことや、苦手なことは何ですか
  • あなたの国の良いところを教えてください
  • あなたは日本のどんなところが好きですか
  • 日本で暮らしていて、困ったことはありますか
  • 友人や家族からどんな人と言われることが多いですか
  • 〇〇な問題が起こった時に、どう解決しますか
  • コミュニケーションを円滑にするために気をつけていることはありますか
  • あなたが信仰する宗教について、気をつけることがあれば教えてください

その人自身の人柄も、仕事を続けていくうえで大事な部分です。
コミュニケーション能力や積極性などを垣間見ることができるでしょう。

回答内容について参考にするのはもちろんですが、比較的回答しやすい項目が多いので、正直に話しているかや、日本語での受け答えがスムーズかなども確認できます。

仕事への熱意や向上心を知る質問例

  • 日本語はどうやって勉強しましたか
  • この業界で働く上で、役に立つ技術や資格があれば教えてください
  • 働いたときに怒られたことはありますか?それはどのような内容で、どう対応しましたか
  • この会社でどのようなことができるようになりたいですか
  • 日本で叶えたい夢や将来の目標はありますか

日本語の勉強法や働いた経験、将来について質問をすることで、その人の向上心を知るきっかけになります。
現段階では技術力が未熟であっても、向上心が高ければ成長を見込めるでしょう。

面接と受入れにおいての注意点もチェック

外国人の受入れの場合、日本とは文化や考え方、慣習が異なるため、注意が必要になる場面もあります。
受入れの際の注意点もご紹介します。

雇用条件をしっかり理解してもらう

後々、雇用条件が違うといったトラブルにもなりかねないため、通訳などを通して確実に理解してもらうようにしましょう。

給与面では、日本では給料は「手取り額」と「総支給額」の2つがあることを説明しましょう。
給料について話をする際は、どちらのことを指しているのかはっきりと説明し、お互いに認識を合わせておく必要があります。

福利厚生や勤務地などについても確認をしましょう。

家族の承諾が取れているか確認する

家族間のつながりが強く、働く場所や条件に対して家族が干渉することが当たり前とされている国もあります。
そのため、面接を受けた本人はやる気があっても、家族から反対されてしまうことも少なくありません。

日本やその企業・業種で働くことを家族も了承しているのか、という点についても確認が必要です。

働き始める時期について確認する

現在学校に在籍している留学生や現在日本で働いている技能実習生の場合、特定技能の許可がいつ下りるのか、いつから働けるのかという確認が必要です。

留学生の場合、特定技能の許可が下りる前に採用をしてしまうと、「週に28時間までのアルバイトなら可」という決められた就労時間を超えてしまうことも。
超えてしまった場合に強制送還や罰金の支払いを命じられる可能性があることも覚えておきましょう。

外国人の受入れについては「外国人労働者を建設業で受け入れる方法や準備を解説!」でも詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。

まとめ:特定技能の面接では質問を通してお互いの認識をすり合わせよう

特定技能外国人の面接は、対面式の面接のほか、近年はオンラインで行われることも多くなっています。
可能であれば通訳も依頼し、間違いや勘違いがないように進めましょう。

また、在留資格やパスポートなど、受入条件を満たしているかの確認は確実に。
もし、適切な受入れが行われていない場合、法的に罰せられるおそれもあります。

面接で聞く質問内容は外国人ならではの質問だと思われがちですが、実際には志望動機を聞いたり、質問を通して人柄や向上心を見たりと、日本人の面接で聞く内容と大きく変わりません。

ただし、文化や慣習の違いから誤解やミスマッチが生じることもあります。
特に雇用条件などについては、丁寧なすり合わせが大切です。

JACは、建設業界での特定技能外国人の受入れに関するさまざまな疑問にお答えします。
建設業界で特定技能外国人の受入れをお考えの企業様は、JACにお気軽にご相談ください!

※この記事は2023年5月の情報で作成しています。

私が記事を書きました!

一般社団法人 建設技能人材機構(JAC) 管理部(兼)調査研究部 主任

加納 素子

かのう もとこ

愛知県出身。
広報・調査研究業務を担当し、SNSの中の人。
SNSでは、日本を好きになってほしい、日本から世界へ建設の魅力を伝えたい、世界から選ばれる日本の建設業でありつづけるためにという思いをもって日々更新中。
また、アジア諸国における技能評価試験の実施可能性などの調査業務に従事し、各国の現地機関とのヒアリングを行っている。

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