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日本人従業員向け「外国人共生講座2026」外国人雇用の基礎知識 開催レポート
私が記事を書きました!

(一社)建設技能人材機構(JAC)
調査研究部 主任 / 管理部 / 広報部
加納 素子
(かのう もとこ)
JACでは、2026年5月から全6回の日本人従業員向け「外国人共生講座2026」を開催しています。
本講座は、外国人材の受け入れに取り組む企業の皆さまに向けて、現場で役立つ知識を届けることを目的としています。
2026年7月24日(金)に「外国人雇用の基礎知識」をテーマに講座を開催し、事前登録者344名のうち219名(オンライン196名、東京会場23名)にリアルタイムでご参加いただきました。
講師は、弁護士法人Global HR Strategy代表社員の杉田昌平氏が務めました。
杉田氏は普段から1日約100件の外国人雇用に関する相談対応にあたり、厚生労働省や国土交通省など各省庁の委員も務める外国人雇用分野の専門家です。
今回は在留資格制度の仕組みから、採用・就業規則・定着支援まで、企業が外国人材を受け入れる際に押さえておくべきポイントを幅広く解説いただきました。
「日本人と同じ扱い」が招く法令違反
講座では、外国人雇用のトラブルの多くが「日本人と同じ対応をした結果、意図せず入管法を無視してしまうこと」から生じるという指摘から始まりました。
会社の人事制度や就業規則は、多くの場合日本人を対象にすることを暗黙の前提として作られています。
そのため、在留資格制度への理解がないまま外国人従業員に同じ手続きを適用すると、必要な手続きが漏れてしまうことがあるといいます。
実例として、「高度専門職1号」で在留していた方を日本人同様の手続きで採用した結果、転職時に必要な在留資格変更許可の手続きを行わなかったために、不法就労状態となってしまったケースが紹介されました。
このほか同様に法令違反につながりかねない事例として、次の4点も挙げられました。
- 在留資格で認められた範囲外の仕事に配置転換してしまう
- 「特定技能1号」や「高度専門職1号」の外国人材をグループ会社へ転籍・出向させる際に必要な手続きを行わない
- 法人の組織再編に伴う在留資格の手続きを忘れてしまう
- 「留学」の在留資格の留学生を採用したが、在留資格の変更をしないまま入社日を迎えた
このような組織再編や転籍・出向などの事例は、普段の人事業務の延長線上にあることばかりで、特別な例外ではないのだと気づかされます。
日本と海外の雇用方法の違いと注意点
続いて説明いただいたのは、日本と海外の雇用の違いです。
日本では職務や勤務地を限定せず「人」を基準に雇用する「メンバーシップ型雇用」が主流ですが、海外では先に仕事の枠が決まっていて、その仕事にふさわしい人材を採用する「ジョブ型雇用」が一般的であるといいます。
在留資格で従事できる仕事の範囲が決まっているので、日本で外国人を雇う際にも、このジョブ型で雇用することが多くなります。
そのため、事前に必要な人材と進め方を整理しておくことが重要だとお話しいただきました。
たとえば、任せる仕事を総合職・専門職・現業職のいずれかに特定し、その仕事を行うことができる在留資格を確認した上で、最後にその在留資格を取れる条件を満たしている人を採用するという順番です。
また、外国人は一人につき一つの在留資格しか持てない「一在留一資格の原則」があり、認められた範囲を超えて仕事をさせると不法就労にあたる可能性があるというお話もありました。
仕事内容と在留資格の一致を常に意識することが、外国人雇用の基礎になるといいます。
キャリアの積み方の違いに関する注意点
日本企業の多くは、同じ会社の中でさまざまな部署を経験させながら人材を育てる「日本型キャリア」が一般的です。
会社の中でのプロフェッショナルを育てるという発想であり、同じ会社に長く勤めることで徐々に処遇が良くなっていく仕組みです。
一方、海外では同じ職種のまま会社を変えてキャリアアップしていくのが一般的とされ、同じ職種の中でのプロフェッショナルを目指す発想だといいます。
こうした違いから、外国人材の中には「この会社にいる限り出世の道がない」と受け取ってしまう人もいるとのこと。
実際には日本の会社でも社内で昇進していく道があるため、その点を丁寧に伝えることが円滑な受け入れにつながるといいます。
外国人雇用の手続きと就業規則の見直し
外国人雇用の手続きについては、海外から招へいする場合と国内で在留資格を切り替える場合の流れ、そして入国までの手続きや、在留資格の申請の流れまで詳しくご紹介いただきました。
いずれの場合も、添付書類の回収に時間がかかることが多いため、早めの着手が重要だという実務上のアドバイスもありました。
また、就業規則についても、外国人従業員を想定した見直しポイントを具体的に挙げていただきました。
厚生労働省はモデル就業規則を公表していますが、多くの企業ではこれをもとに日本人が働くことを前提として作られています。
そのため、採用時の在留カード確認、一時帰国のための特別休暇、賃金控除に関する労使協定、在留資格を喪失した場合の自然退職事由、副業を許可する際の在留資格上の制限など、外国人雇用に特有の項目を補う必要があるとお伝えいただきました。
普段何気なく運用している就業規則にも、「外国人雇用」を考え始めるとこれだけ見直すべき点があるのだと気づかされます。
定着に向けた受入れ体制のポイント
講座の最後には、外国人従業員の定着に向けた受入れ側の準備として、以下の5点が紹介されました。
- 複数名での採用
- 外国人と働いた経験のある担当者の配置
- 来日後の生活サポート
- 入社前の十分な情報提供
- 定期的な面談の実施
また、「外国人材は孤独感を抱きやすい傾向がある」という調査結果も示され、受け入れる側の体制づくりの重要性が強調されました。
一つひとつは小さな配慮ですが、それが積み重なって定着につながるのだと感じました。
今回の内容を1枚にまとめた啓発ポスターもご用意いただきました。
「仕事」を明確にする→「在留資格」を確認する→「人材」を採用するという3ステップと、受入れ時のチェックリスト、よくあるミスとトラブル事例、定着につながる職場づくりのポイントが紹介されています。
今回の講座内容と自社の受け入れ体制と照らし合わせながら、ぜひご覧ください。
参加者からのQ&A
講座後半のQ&Aセッションでは、賃金に関することや在留カードの確認方法、離職理由などについてご質問をいただきました。
いただいた質問の中から、いくつか抜粋して簡単にご紹介します。
- Q.勤務歴や仕事内容の違いなど合理的な理由があれば、日本人と同様の賃金を支払わなくても問題ない?
- A.必ずしも同額である必要はない。ただし外国人であることのみを理由にした低賃金設定は認められないため、賃金差がある場合は経験年数、技能水準、職務内容、責任範囲の違いなど合理的な説明ができるようにしておくことが重要。
- Q.在留カードで在留資格以外の詳しい業務内容は確認できる?
- A.在留カードでわかるのは在留資格の種類と在留期間まで。実際の業務が在留資格に合っているかは、卒業証明書や職務経歴書、雇用契約書などをあわせて確認する必要がある。
- Q.離職につながる困りごとで相談が多い内容は?
- A.言語・コミュニケーションの問題、労働条件・業務内容の認識のずれ、職場の人間関係、キャリア形成への不安など。丁寧な説明と相談体制の整備が重要。
- Q.外国人の受入れについて、社内ルールとして規定しておいた方が良いことは?
- A.採用時の就労資格・在留カードの確認方法、在留期間の管理と更新対応、業務範囲の確認、入退社時の届出対応などが挙げられる。あわせて相談窓口の設置やハラスメント防止、多言語での安全衛生教育なども明文化しておくと、受入れ体制の整備につながる。
このほかにも実務に即した質問が数多く寄せられ、改めて関心の高さがうかがえました。
当日いただいた質問と回答の詳細は「外国人雇用の基礎知識 Q&A集」よりご確認いただけます。
外国人雇用の基礎知識 Q&A集
受講後のアンケートでは「とても満足」「満足」との回答が合わせて9割にのぼり、「日本人雇用とは異なるルールがあり、在留資格に応じた対応の重要性を理解できた」といった声が寄せられています。
一方で「実務担当者向けの応用編も聞きたい」「職場での具体的なトラブル事例をさらに知りたい」といったご要望もいただいておりますので、今後の講座内容に反映してまいります。
JACでは、日本人従業員向けに「外国人共生講座」を開講しています。
異文化理解や外国人に伝わりやすい「やさしい日本語」のことなど、外国人材との共生に必要な知識と対応力を身につけていただける内容です。
質問タイムも設けておりますので、ぜひご参加ください!
講座の詳細は、下記の「外国人共生講座」 のページからご覧いただけます。
過去講座の見逃し配信・資料、講座で挙げられたQAについても公開中です。
日本人従業員向け「外国人共生講座」
この講座の運営は、(株)BREXA CrossBorderに委託しております。
本記事は、7月24日(金)に開催した日本人従業員向け「外国人共生講座2026」外国人雇用の基礎知識 の開催レポートです。
セミナー動画
セミナー資料
セミナー資料_外国人雇用の基礎知識260724.pdf
Q&A_外国人雇用の基礎知識260724.pdf
ポスター「外国人雇用は「仕事」と「在留資格」の理解が第一歩。」
日本人従業員向け「外国人共生講座」開催レポート
この記事を書いた人





