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JACマガジン

JACの取組み・活動レポート

2026/08/17

日本人従業員向け「外国人共生講座2026」異文化理解講座②ベトナム&インド編 開催レポート

私が記事を書きました!

加納 素子

(一社)建設技能人材機構(JAC)

調査研究部 主任 / 管理部 / 広報部

加納 素子

(かのう もとこ)

画像:2026年6月4日「異文化理解講座② ベトナム&インドの事例」

JACでは、2026年5月から全6回の日本人従業員向け外国人共生講座を開催しています。

2025年度にご好評をいただいた「外国人共生講座」をさらにブラッシュアップし、現場に近い皆さまの声を反映してプログラムを組み立てております。

2026年6月4日(木)に「異文化理解講座② ーベトナムとインドの事例から学ぶー 尊重を軸とした外国人材マネジメント」を会場・オンラインのハイブリッド形式で開催しました。

進行は(株)BREXA CrossBorderの河元氏が務め、ベトナム出身のチャン・マインクオンさんと、インド出身のカルティケヤン・ナレッシュさんがゲストとして登壇しました。

また、外国人就労者の人材マネジメントを担当する櫻庭氏からは、管理者の視点で国別の傾向や関わり方について解説いただきました。

復習:異文化理解 基本のおさらい

まずは進行役の河元氏により、異文化理解講座① インドネシアとイスラム教編でも触れた「氷山モデル」の話からスタート。

「行動の裏には必ず理由がある。実は現場のズレの多くは見えない部分で起きている」という、氷山にたとえた話をしていただきました。
言葉や服装、宗教といった「見えている違い」は比較的わかりやすいもの。
一方、その行動を支える価値観や考え方は水面の下にある「見えない部分」で、こちらは気づかれにくいものです。

画像:セミナー資料:氷山モデル

異文化をもつ外国人材とは、「見えない部分」があることを前提に関わっていくことが大切であると語られました。

ベトナムの事例に学ぶ外国人材との働き方

続いて、ベトナムから来日して6年になるチャン・マインクオンさんから職場での事例をお話しいただきました。
マインクオンさんには、3つの質問に対して実際に職場で感じたことをお話しいただきました。

質問1:日本の職場でどんな関わりがあったときに、「ここでがんばろう!」と思えましたか?

画像:セミナー資料:質問1 日本の職場でどんな関わりがあったときに、「ここでがんばろう!」と思えましたか?

まず、がんばろうと思えたきっかけを聞かれると、「学べる環境があったこと」「他の国の人と関われる機会が増えたこと」「自分の力を活かせたこと」の3点を挙げてくださいました。

技能実習生100人ほどが在籍するトラブルが多かった現場での連携を任され、一つずつ問題を解決していく中で状況が改善し、現在は235人の取りまとめ役も担っているそうです。

こうした経験を通じて、マネージャーや企業がちゃんと自分を見てくれていると感じ、モチベーションが上がったといいます。
また、自分の価値を活かせたこと、仕事を任せてくれたことで「もっとがんばろう」という気持ちになれたと語ってくださいました。

質問2:日本の職場で、「これは難しい」「伝わりにくい」と感じた日本語や指示は、どんなものでしたか?

画像:セミナー資料:質問2 日本の職場で、「これは難しい」「伝わりにくい」と感じた日本語や指示は、どんなものでしたか?

一方で職場でわかりにくいと感じたのは、日本人のやわらかい言い回しでした。

ベトナムではだめな時ははっきりだめだと伝えるのに対し、日本では「ちょっと違うかもしれません」「なんとかしてください」などの曖昧な表現が多く、判断に迷うことがあったといいます。

質問3:困ったときや分からないとき、日本の職場ではどんなふうに伝えてもらえると助かりますか?

画像:セミナー資料:質問3 困ったときや分からないとき、日本の職場ではどんなふうに伝えてもらえると助かりますか?

最後に、どんな伝え方をされると助かるかという質問に対し、論点をはっきり伝えてもらえること、結論と理由を一緒に伝えてもらえること、確認する時間を設けてもらえることを挙げました。

自分で判断できる状態にしてもらえることが、安心して働ける環境につながると話してくれました。

インドの事例に学ぶ外国人材との働き方

続いて、南インド出身のカルティケヤン・ナレッシュさんの事例です。
ナレッシュさんにも、3つの質問にお答えいただきました。

質問1:日本の職場で、「自分の話をちゃんと聞いてもらえた」・「理由を説明してもらえて納得できた」と感じたのは、どんな場面でしたか?

画像:セミナー資料:質問1 日本の職場で、「自分の話をちゃんと聞いてもらえた」・「理由を説明してもらえて納得できた」と感じたのは、どんな場面でしたか?

日本の会社でキャリアをスタートした頃、周りは全員日本人で会議も全て日本語だったため、まだ日本語が話せず内容がほとんど理解できずに困っていたという経験があったナレッシュさん。

そんな時、ある日本人が会議後になぜこの進め方なのか、他の方法だとどうなるのかまで丁寧に説明してくれたことがとても助かったといいます。
自分の状況を理解して関わってもらえると、安心して働けると話してくれました。

質問2:日本で働いて、「これは驚いたな」「これは想像と違ったな」と感じたことは、どんなことでしたか?

画像:セミナー資料:質問2 日本で働いて、「これは驚いたな」「これは想像と違ったな」と感じたことは、どんなことでしたか?

日本で働いていて驚いたことを聞かれると、判断の前提や指示や説明についてが挙がりました。

インドでは自分で判断して進めることが一般的ですが、日本では事前に確認することが大切にされており、「勝手に判断した」と言われてしまうこともあったそうです。

加えて、曖昧な指示にも戸惑ったほか、理由がわからないまま注意されると納得しづらく、同じミスを繰り返してしまうこともあったといいます。

質問3:日本の職場でどんな説明や関わり方をしてもらえていたら「働きやすい」と感じたと思いますか?

画像:セミナー資料:質問3 日本の職場でどんな説明や関わり方をしてもらえていたら「働きやすい」と感じたと思いますか?

働きやすいと感じる関わり方としては、まず「意見を気軽に言える環境」を挙げてくださいました。

また、役割を与えてもらえたり、責任のある仕事を任せてもらえたりすると、信頼されていると感じ成長につながるといいます。

質問1・質問2にも通じるところですが、結論と理由をセットで説明してもらえたり、なぜそのルールがあるのかも教えてもらえたりすると、「納得して進められる」「働きやすさにつながる」とお話ししてくれました。

日本人管理者の視点で学ぶ外国人材との働き方

続いて、BREXA CrossBorderで外国人就労者の人材マネジメントを担当する櫻庭氏が登壇。
企業の受入支援や定着支援に携わってきた経験をもとに、現場で見えてきたベトナム&インドの方の特徴と、関わり方のポイントをご紹介いただきました。

「ベトナム」「インド」の国別に見えた傾向(現場から)

画像:セミナー資料:「ベトナム」「インド」の国別に見えた傾向(現場から)

あくまで傾向であり個人差があることは前提ですが、ベトナムの方は主体性があり、責任を任せることで伸びるケースが多く、評価や期待を言葉にして伝えるとモチベーションが上がりやすいといいます。
関わり方としては、キャリアパスと期待を明確に伝えることがポイントとのことでした。

インドの方は論理的思考力が高く、自分の意見をはっきり言う傾向がありますが、これは交渉や主張を前提とした文化的な背景によるものだといいます。
関わり方としては、あいまいさを排除して明確な意見交換をすることがポイントとして挙げられました。

うまくいく現場とそうでない現場の違い

画像:セミナー資料:うまくいく現場とそうでない現場の違い

指示内容を理解しないまま作業を進めて不良品や危険行動につながったケースや、理由を説明せずに厳しい口調で指導してしまいモチベーション低下や離職につながったケース、思い込みで進めてルールを逸脱してしまったケースなどがあるそうです。

文化や価値観の違いを前提にした上で、コミュニケーションの機会を意図的につくり、ルールや期待を言語化して共有していることがうまくいく現場の共通点だといいます。

国によって傾向はあれど、大切なのは国籍ではなく個人を見ること。
そして、言葉にしてしっかり伝えること。
この2点が、外国人材とより良い関係を築くために共通するポイントといえますね。

参加者からのQ&A

講座の後半では、参加者からの質問にゲストや講師が直接答えるコミュニケーションタイムが設けられました。
その一部をご紹介します。

Q.
日本語の勉強もやる気がなく、問題行動もある人に向上心を持たせる方法はありますか
A.
目標を下げて小さな成功体験を積ませ、「できた」という実感を増やすことがポイント。「これでいいですか」と確認する、指示を復唱するなど、抽象的な「がんばる」ではなく行動で示せる目標にすることが大切です。
Q.
仕事中の会話をできるだけ日本語にするよう提案しても問題ないでしょうか
A.
提案自体は問題ないものの、「母国語禁止」と受け取られないよう、安全や報連相のための共通言語として伝えることが大事です。あわせて、やさしい日本語や短く具体的な指示など、日本語を使いやすい環境づくりを会社側も行うことも必要でしょう。
Q.
離職を防ぎ、定着率を高めるための取組を教えてください
A.
キャリアパスを明確にすることが重要です。ただし制度を整えるだけでは不十分で、その内容を本人にしっかり伝え、理解してもらうことが不可欠。丁寧な対話を通じて、将来像や期待を共有していくことがポイントです。

JACでは、日本人従業員向けに「外国人共生講座」を開講しています。
異文化理解や外国人に伝わりやすい「やさしい日本語」のことなど、外国人材との共生に必要な知識と対応力を身につけていただける内容です。
質問タイムも設けておりますので、ぜひご参加ください!

講座の詳細は、下記の「外国人共生講座」 のページからご覧いただけます。
過去講座の見逃し配信・資料、講座で挙げられたQAについても公開中です。
日本人従業員向け「外国人共生講座」

この講座の運営は、(株)BREXA CrossBorderに委託しております。

本記事は、2026年6月4日(木)に開催した日本人従業員向け「異文化理解講座②ベトナムとインドの事例から学ぶ 尊重を軸とした外国人材マネジメント」の開催レポートです。

セミナー動画

セミナー資料

JAC外国人共生講座2026_異文化理解(2)編講座資料(ダイジェスト版).pdf
【Q&A集】JAC外国人共生講座2026_異文化理解講座(2)ベトナム&インド編.pdf

この記事を書いた人

加納 素子

(一社)建設技能人材機構(JAC)

調査研究部 主任 / 管理部 / 広報部

加納 素子

(かのう もとこ)

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愛知県出身。
広報・調査研究業務を担当し、SNSの中の人。
SNSでは、日本を好きになってほしい、日本から世界へ建設の魅力を伝えたい、世界から選ばれる日本の建設業でありつづけるためにという思いをもって日々更新中。
また、アジア諸国における技能評価試験の実施可能性などの調査業務に従事し、各国の現地機関とのヒアリングを行っている。

やさしい日本語講座 基礎編 9月17日 14:00〜15:00_F