JACマガジン

JACの取組み・活動レポート

2026/04/23

2025年度「外国人材とつくる建設未来賞」<受入企業/外国人材活躍優良事例部門>表彰式レポート

私が記事を書きました!

片山 祥平

(一社)建設技能人材機構(JAC)

広報部 / 管理部

片山 祥平

(かたやま しょうへい)

集合写真:未来を見据えた育成モデルを構築

未来を見据えた育成モデルを構築

2025年12月22日(月)、2025年度建設未来賞の表彰式が開催されました。
今回受賞された企業のコメントや取組みを紹介します。

受賞企業紹介

外国人材育成賞 大栄電設株式会社

1968年創業の大栄電設株式会社は、2024年よりベトナム人特定技能人材を採用し、通訳者を配置して「技能・語学・生活」を一体で支援しています。社内に学習室を整備し、第一種・第二種電気工事士試験対策や日本語教育を継続的に実施。専門用語の翻訳資料やフラッシュカードも活用しています。教育体制を見直し、マニュアルやOJT計画を整備。その効果は日本人社員にも広がりました。語学資格手当や役職登用、生活セミナーの開催など総合的な育成体制を構築し、自立して働き続けられる環境づくりが評価され、外国人材育成賞を受賞しました。

未来への取り組み賞 鋼管ビルト株式会社

鋼管ビルト株式会社は、ビケ足場の設計・施工・解体を担う足場専門業者です。インドネシアの送り出し機関と連携し、現地で1カ月間の実技講習を実施。自社部材を用いた訓練と日本式の安全教育を組み合わせ、来日前から即戦力を育成する一貫モデルを構築しています。入社後も職長教育やCCUS資格取得支援を行い、特定技能2号への道筋を整備。さらに、現地機関への定期訪問や制度改善を重ね、継続的に仕組みを高度化。海外と国内を結ぶ持続的な育成スキームを確立し、その先進性が評価され、未来への取り組み賞を受賞しました。

外国人材育成賞 外国人材育成賞

エムズホールド株式会社

株式会社松和工業

大栄電設株式会社

株式会社田畑技建工業

有限会社福島工務店

ミスギ工業株式会社

未来への取り組み賞 未来への取り組み賞

アース建設コンサルタント株式会社

株式会社大林組

鋼管ビルト株式会社

株式会社タカラ

株式会社中鉃
関西鉄筋工業協同組合

受賞企業コメント

外国人材育成賞
エムズホールド株式会社

外国籍人財への足場の技術や日本語教育に加え、武士道や論語を通じた人間力向上に取り組んでいます。多文化が共に成長できる環境づくりに努めます。

外国人材育成賞
株式会社松和工業

同じ現場で汗を流し、共に切磋琢磨して技術を磨いてきた成果を評価していただけたことは励みとなります。安全第一で育成に努め、建設業の未来に貢献します。

外国人材育成賞
大栄電設株式会社

安心して働ける環境づくりに力を入れています。社員一人ひとりの努力と挑戦が実を結び、賞をいただけたことは大変光栄です。今後も人材育成に一層取り組みます。

外国人材育成賞
株式会社田畑技建工業

従業員は国籍問わずみな対等であり、長く働きたいと思ってもらえる企業となることが重要です。両者が相乗効果を発揮し、共に成長できる体制づくりに尽力してまいります。

外国人材育成賞
有限会社福島工務店

彼らの技能向上意欲に応えるため、社内でのスキルアップや意見交換できる環境での育成に取り組みました。これからも優れた技能者育成に精進してまいります。

外国人材育成賞
ミスギ工業株式会社

共に働くインドネシア人技能者をはじめ、すべての仲間に感謝し、今後も安全で成長できる現場づくりに一層努めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。

未来への取り組み賞
アース建設コンサルタント株式会社

宮崎県の中小企業として10年以上、日本の建設業の人手不足、またベトナム人材の待遇改善に取り組んできました。その歩みを評価していただき、ありがとうございます。

未来への取り組み賞
株式会社大林組

今後も施工管理や設計補助といった高度な業務を外国人材に担ってもらい、彼らの能力を最大限に引き出し、即戦力として活躍できる環境を整えていきたいです。

未来への取り組み賞
鋼管ビルト株式会社

外国人技能者が早期に現場へ適応し、安心して働ける環境づくりを進めてきました。今後も仲間として互いに支え合い、安全で質の高い足場施工の実現に励みます。

未来への取り組み賞
株式会社タカラ

教育を先に置き、信頼を軸に現場・地域・母国へ価値を循環させてきた越境協働の歩みが実を結びました。建設の未来に通じる実装力を一層高めてまいります。

未来への取り組み賞
株式会社中鉃
関西鉄筋工業協同組合

外国人材の重要性を理解し、彼らの建設技能向上と特定技能2号になるための教育をすることで長く働けるように、また、働きたいと思ってもらえるよう尽力してまいります。

受賞企業インタビュー①
大栄電設株式会社

外国人材育成賞

外国人材育成賞

通訳を軸に築く三位一体の育成体制

代表取締役 下平 征司氏

代表取締役 >下平 征司

学習支援の具体的な取り組みを教えてください

外国人技能者の育成を担うのが、ベトナム出身の女性担当者です。受入れに合わせて整備した2つの学習室では、電気工事士試験の実技練習と日本語学習を同時に進めており、講師として指導に当たっています。専門用語はベトナム語訳付きのフラッシュカードや写真資料を活用していて、これは社長にベトナム語を教えるために作ったカードが発展したものです。難解な表現もベトナム語でかみ砕いて説明し、理解度に応じて教え方を変えながら、一人ひとりの成長を支えています。

女性担当者はどのような存在ですか?

愛知県の大学で学び、通訳として外国人支援に携わってきた彼女は、電気工事の面白さに惹かれて入社しました。今では第一種電気工事士の資格も取得し、技術面の指導も任せています。試験前には自宅からオンラインで補講を行い、生活面では銀行や役所にも付き添うなど日常面の支援も担っています。悩みがあればまず連絡が入り、私と情報を共有しながら一つずつ解決していく流れができています。現在の受入れ体制は、彼女がいてこそ成り立っていると感じています。

教育体制の見直しで変わったことは?

受入れ当初は言葉の壁もあり、業務手順を洗い出してマニュアルやチェックリスト、OJT計画を整えました。的確に伝えれば彼らは驚くほど速く正確に動くとわかり、その気づきが体制整備につながっています。さらに、市役所からゴミ出しについて注意を受けたことをきっかけに、ゴミ分別や交通ルールなどを学ぶ「生活の知恵セミナー」も開始。語学報奨制度も導入し、技能・語学・生活を一体で支える仕組みとしています。

取り組みの成果を教えてください

入社1年以内に5名が第二種電気工事士に合格しました。筆記では90点近い高得点を取る者もいて、正直「どう教えているんだ」と私も驚いたほどです。現場でも、的確に伝えればすぐ動き、仲間同士で助け合う。その姿は日本人スタッフにも良い刺激になっています。ここまで成果が出ている背景には、やはりベトナム人の女性担当者の存在があります。言葉だけでなく、試験のニュアンスや現場感覚まで伝えられる人材がいることで、育成のスピードが格段に上がりました。資格取得は通過点ですが、責任を持てる技能者へと着実に育っています。

写真:日本語講習の様子

女性担当者が講師を務める日本語講習

受賞企業インタビュー②
鋼管ビルト株式会社

未来への取り組み賞

未来への取り組み賞

海外連携で長期的な人材育成基盤を築く

取締役 中山 健介氏

取締役 >中山 健介

具体的な取り組みを教えてください

当社はインドネシアの送り出し機関と連携し、日本の足場部材を現地に輸出して、来日前に1カ月間の実技講習を実施しています。フルハーネスの装着方法や空調服の使い方、部材の名称や取り扱い、安全な持ち方まで、日本と同じ基準で指導しています。単に技術を覚えるのではなく、「日本の現場で安全に作業できる状態」をつくることが目的です。実際に体験することで仕事の厳しさも理解でき、ミスマッチの防止にもつながっています。

個別育成計画はどのように実施していますか?

入社後は専任通訳を交えて面談を行い、評価ではなく「将来どうなりたいか」を一緒に確認しながら、希望や習熟度に応じた個別育成計画を立てています。特にリーダー候補には、中央労働災害防止協会で資格を取得した社内講師のもとで職長・安全衛生責任者教育を実施。日本人と同じチェックリストを用い、安全基準を共通化しています。基準を揃えることで、指示の曖昧さをなくし、現場で迷わない状態をつくっています。

特定技能2号を見据えた育成を行っているとか

はい。特定技能2号への移行を見据え、必要な資格取得について段階的に支援しています。2号を目指すことで、役割や責任の持ち方にも変化が見られます。資格は取得して終わりではなく、その先の業務や立場につなげるためのステップとして位置づけています。リーダー候補については、実際の現場で班長を任せ、後輩の指導や安全確認も担わせています。資格取得と現場での役割を結びつけながら、育成を進めています。

外部の知見はどのように活かしていますか?

当社が行っているこれらの取り組みは、JACの個別相談会や業界団体の情報交換の場を活用しながら改善してきました。他社の事例や制度の運用方法について情報を得て、自社の来日前講習や個別育成計画の見直しに反映しています。自社のやり方だけに固執するのではなく、外部の事例も参考にしながら、実際の現場運営に合う形へと調整しています。取り入れられるものは取り入れ、必要に応じて修正する。その積み重ねによって、現在の育成の仕組みを段階的に整えてきました。

写真:足場組立の様子

足場組立はチームワークが要

「外国人材とつくる建設未来賞」について

2023年度より、新たに国土交通大臣表彰として「外国人材とつくる建設未来賞」が創設されました。
この賞は、建設業における中長期的な担い手確保のため、外国人材の重要性がますます高まっていることを踏まえ、建設技能や日本語によるコミュニケーション能力の習得が顕著な特定技能外国人、さらには、外国人材の育成に尽力されている受入企業と、建設業に従事する外国人材に関連した優れた取組を対象としています。これらの様々な努力や工夫を重ねる多くの皆様の活動を表彰し、広く周知することで、我が国の建設業における外国人材との共生を推進し、持続可能な建設業の実現を目指すものです。2025年度は、外国人材育成賞6件、未来への取り組み賞5件が表彰されました。

<受入企業部門>外国人材育成賞

継続的かつ効果的に外国人建設技能者の建設技能および就労環境向上に取り組んでいる受入企業を表彰します。

対象者
応募時点で、以下のいずれかに該当する企業

  • 継続的かつ効果的に外国人建設技能者の建設技能、日本語能力および就労環境の向上に取り組んでいる企業
  • 応募時点で、外国人建設技能者を雇用していること
  • 過去に外国人材育成賞を受賞していないこと

応募資格
自薦他薦を問いません。(他薦の場合には、募集対象の承認を得てください。)

<外国人材活躍優良事例部門>未来への取り組み賞

建設技能、日本語能力、共生、事業展開の4つのテーマにおいて、建設業に従事する外国人材に関連した優れた取組を表彰します。

対象者
以下すべてを満たしている取組

  • 建設業に従事する外国人技能者、外国人技術者等の外国人材に関連して、継続して実施している取組であること。
  • 応募にあたっては、応募内容が下記4テーマのいずれに該当する取組か、ひとつ選択すること。
    • 建設技能
      外国人材の建設技能等の向上に関する取組
    • 日本語能力
      建設業に従事する外国人材の日本語能力の向上に関する取組
    • 共生
      建設業に従事する外国人材と社会の共生に関する取組
    • 事業展開
      建設業に従事する外国人材の受入れを契機に新たに始めた取組
  • 過去に「外国人材とつくる建設未来賞」に応募した場合であっても、新たな内容または前回応募時のものと比べて付加的な事由が存在する場合には、前回の応募時の内容を含めて再応募することができる。

応募資格
自薦他薦を問いません。(他薦の場合には、取組主体の承認を得てください。)

Photo Gallery

この記事を書いた人

片山 祥平

(一社)建設技能人材機構(JAC)

広報部 / 管理部

片山 祥平

(かたやま しょうへい)

福島県出身。
現在、広報担当として業務に取り組んでいます。
広報業務では、建設分野の特定技能外国人を受け入れている企業の先進的な取り組みを取材し、記事の作成および情報発信を行っています。
また、日本で働く外国人労働者のみなさまに、日本の文化の魅力や仕事に対する考え方など、日本ならではの良さをより深く知っていただきたいという想いから、日々情報発信を続けています。

受け入れマニュアル_F