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JACマガジン

外国人労働者との働きかた

2026/08/28

【調査レポート】アンケートから見る!特定技能外国人受入れ後の課題

私が記事を書きました!

片山 祥平

(一社)建設技能人材機構(JAC)

広報部 / 管理部

片山 祥平

(かたやま しょうへい)

画像:アンケート「特定技能外国人受入れ後の課題」

こんにちは、JAC(建設技能人材機構)の片山です。

特定技能外国人の受入企業が直面するのは、入管手続きだけではありません。
実際に一緒に働き始めてから、さまざまな課題が見えてくることがあります。

今回は、建設分野で特定技能外国人を受け入れている356の企業様を対象に、受入れ後に直面した課題についてアンケートを実施しました。
アンケートでは、仕事の教え方からコミュニケーション手段まで、現場の生の声が集まりました。
その結果をもとに、現場が抱える課題と企業様が実践している具体的な取組みをご紹介します。

Q. 特定技能外国人に仕事を教える上で、何が大変でしたか。

※複数回答可

画像:アンケート「Q. 特定技能外国人に仕事を教える上で、何が大変でしたか。」

最も多かった回答は「言葉の壁」で、72%の企業様が課題として取り上げていました。
次いで「安全衛生の指導」が37%、「仕事の習慣」が24%と続きました。

「言葉の壁」について、「日本語で指示し、うなずいて返事をするので理解していると思ったが、実際には全く伝わっていなかった」という経験が多くの企業様から聞かれました。

また、安全衛生への価値観は特定技能外国人の出身国と日本で異なるケースも多く、「このくらいで良い」と安全衛生を軽視してしまう傾向も強いようです。

仕事の習慣面では、自分の担当が終わった後の動き方について、日本の職場慣行との違いを感じたという声もありました。
遅れている同僚をフォローするといった「空気を読んで動く」行動は、明示的に伝えなければ伝わらないケースも多いでしょう。

現場の具体的な取組み

対策として、現場でどのような取組みを行なっているか回答してもらいました。

わかりやすい言葉に言い換える

建設現場では、朝礼や作業指示の中に専門用語や初学者には難しい単語が多く含まれることが多く、外国人にとっては難易度が高いです。

例えば、次のような「やさしい日本語」を意識した言い換えの工夫が実践されていました。

  • 禁止→ダメ
  • 歩行→歩く
  • 本日の作業内容→今日の仕事の内容
  • 揚重→クレーンで吊ること

また、「あれ」「それ」「これ」「あっち」などの指示語が伝わりづらいという意見もありました。
具体的に何を示すのかをしっかり伝えることも工夫の一つといえます。

やって見せる指導を行う

言葉だけで伝えようとしても限界があることは、多くの企業様が経験しています。

指示の直後は「わかりました」と返事があっても、しばらく後に確認しに行くと、全く異なる方法で作業していたというケースは珍しくありません。
こうした経験から、「言葉で説明するより、実際にやって見せるのが一番」というような意見が多く見られました。

身振り手振りを交えながら作業を見せ、繰り返し確認する地道なアプローチが理解の定着につながっているようです。

Q. これまでに特定技能外国人の受入れで直面した課題は何ですか。

※複数回答可

画像:アンケート「Q. これまでに特定技能外国人の受入れで直面した課題は何ですか。」

「日本語能力不足」が71%と圧倒的に多く、次いで「その他」が26%、「業務習得の遅れ」「文化的な衝突」がそれぞれ15%と並びました。
「その他」の自由回答では、在留資格変更や申請書類の多さ・煩雑さを挙げる声が目立ちました。

日本語能力不足や文化的な衝突については、多くの企業様が受入れ後に何らかのトラブルや戸惑いを経験しており、入管手続きが完了してからが本番といえます。

以下では、現場から寄せられた具体的な課題や取組み、工夫などについてご紹介します。

現場で具体的な取組み

受入企業が現場で直面した実際の課題やその対策として実践している取組み、工夫などをご紹介します。

日本語習得を会社ぐるみで支援する

日本語教育者がゆっくりと指導する、外国人同士での母国語会話を控えて日本語に触れる時間を設けるといった取組みが見られました。

また、会社独自のテストを作成したり、アプリを活用して一緒に学習するなど、工夫を凝らした取組みをしている企業様もありました。

特定技能の場合、日本語能力試験でN4以上が必要ですが、N4を取得していても現場での実務やコミュニケーションにそのまま通用するとは限らないため、受入れ後のフォロー体制を整えておくことが大切でしょう。

特定技能外国人に求められる日本語レベルについては、こちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
特定技能外国人の日本語レベルは?注意点や受入れ後の対策も

文化・生活ルールを丁寧に説明する

ゴミ捨てや夜間の騒音などについて近隣住民からクレームが入ったという声もあり、入居時に生活ルールについて丁寧に説明しておくことの重要性を感じている企業様も多いようです。

さらに、現場内での写真撮影がNGであることの理解が難しいという声もありました。
特定技能外国人の母国でSNSが日本以上に普及しているケースもあり、悪意がなくても情報管理上のリスクにつながる可能性があります。

こうしたトラブルは、入居時・就業開始時に一度説明するだけでは不十分なことも多く、繰り返し粘り強く伝え続ける姿勢が大切です。

通訳者・支援機関のサポートを積極的に活用する

言葉の壁や生活上のトラブルが生じた際、通訳者や登録支援機関等の担当者に助けられたという声が複数寄せられました。
受入企業が単独で抱え込まず、外部のサポートを積極的に活用することが、課題解決の大きな助けになりそうです。

Q. 特定技能外国人とのコミュニケーションで困ったことは何ですか。

※複数回答可

画像:アンケート「Q. 特定技能外国人とのコミュニケーションで、最も困ったことは何ですか。」

「指示の伝わり方」が52%、「言葉の壁」が50%、「専門用語の理解」が41%、「仕事の進め方の違い」が7%という結果でした。

指示の伝わり方や言葉の壁という点では、「わかりましたと返事をしても実際には理解できていない」という声が最も多く寄せられました。

このような課題に対して、企業様側でもさまざまな取組みや工夫を行なっていることがわかりました。

外国人労働者とのコミュニケーションを円滑にするコツについては、こちらもご覧ください。
外国人労働者と円滑なコミュニケーションを取るための対策は?

現場の具体的な取組み

コミュニケーションで課題になりやすいのは、言語理解に関する部分です。
対策として、どのような取組みを行なっているか回答してもらいました。

「わかりました」を疑う習慣をつける

理解が不十分でも「わかりました」「大丈夫」と答えてしまい、結果として指示した内容と異なる行動をしてしまう例が多数報告されています。
これに対し、「怒られると思って返事はするのかもしれない」という考えを聞かせてくださった企業様もいました。

返事だけで判断せず、実際にやってもらうことで理解度を確認することが大切です。
「ニュアンスで理解できていないとわかるようになった」という回答もあり、日々の関わりを通じて観察眼を養うことも重要といえます。

また、指示書に「してはならない」「すべきである」といった表現がある場合は「OK/NG」など明確な言葉に置き換えるという方法も取組みとして挙げられていました。

言語に頼らない伝え方を活用する

身振り手振りを交えた指導や図やチャートで作業手順を示したりするなどの取組みも行われていました。

言語のみに頼らず、動作や視覚情報を組み合わせることで理解を助けられるケースもあるでしょう。

LINEや翻訳ツールを活用する

連絡手段としてはLINEを活用し、特定技能外国人が翻訳ツールを使って返事をするという流れが定着しているという企業様もありました。
理解できているかどうかの確認は電話で行うなど、連絡手段と確認方法を分け、場面に応じて使い分けている様子もうかがえます。

翻訳ツールは、多くの企業様が特定技能外国人との意思疎通手段に用いています。
詳しくは次章でご紹介します。

Q. 外国人労働者との意思疎通にどのような手段を用いていますか。

※複数回答可

画像:アンケート「Q. 外国人労働者との意思疎通にどのような手段を用いていますか。」

最も多かった手段は66%の企業様が挙げた「翻訳アプリの使用」でした。
次いで「その他」が26%、「通訳者の配置」が24%、「多言語のマニュアルや資料」が19%となりました。

各手段について、企業様からは具体的な活用方法や課題感も多く寄せられました。

現場の具体的な取組み

企業様から寄せられた回答から、実際に現場でどのような取組みが行われているかご紹介します。

翻訳アプリを活用する

「重要なことは翻訳アプリを使って確認する」「資料をChatGPTなどで事前に翻訳して配布する」など、アプリを補助ツールとして位置づけながら活用する声が多くありました。

一方で、翻訳アプリは「誤変換が多い」「ニュアンスがうまく伝えられず難しい」といった限界を感じる企業様もありました。
翻訳精度への不信感から、特に作業に関しては言葉で伝えるより実演を重視するなど、状況によってうまく使い分けているケースも見られます。

多言語マニュアルを整備する

道具の名前・使い方、作業手順、安全上の注意点などを写真や図解とあわせてまとめた、多言語資料を作成する企業様が増えています。
特に安全衛生については母国語版の活用が有効といった声が挙がりました。

通訳者や登録支援機関等と連携する

重要な話し合い(雇用条件、生活トラブル、医療受診など)には通訳者に同席してもらう体制が多くの企業様で定着していました。
「普段は日本語でも、細かく大事なことは通訳者を立てる」と使い分けをしているケースが多いようです。

中には社内に専属の通訳スタッフを正社員として採用したという企業様もありました。

日常的なコミュニケーションを大切にする

翻訳アプリや通訳者への依頼だけでなく、日頃の関係づくりそのものが意思疎通の基盤になると感じている企業様も多く、以下のような工夫が見られました。

  • 食事会・バーベキュー・スポーツなどの社外交流
  • 趣味の動画視聴を通じた交流
  • LINEやSNSの活用
  • 日常会話の積み重ね

困ったことを言いやすい雰囲気をつくることが長期定着につながると感じている企業様が多くいました。

受入れ後が本番!JACの支援サービスも活用を!

特定技能外国人は大きな戦力になってくれますが、上記のアンケートでも示されているように、言語・文化・業務習得など、サポートが必要な場面もあります。

一般社団法人建設技能人材機構(JAC)では、特定技能外国人の受入れ後をサポートするさまざまなサービスを提供しています!
※JACの「受入支援サービス」は、1号特定技能外国人の受入負担金をもとに運営しています。

JACの「特定技能受入支援サービス」

JACでは、特定技能外国人が長きにわたって活躍できるよう、主に以下の3つの観点から外国人材をサポートしています。

① スキルアップ支援

特定技能外国人のスキルアップに役立つ講習や研修支援を行なっています。

アンケートでも「安全衛生の指導」に課題を感じている企業様が37%にのぼりましたが、JACでは母国語で受講できるオンライン特別教育・技能講習を無料で提供しています。

また、71%の企業様が課題として挙げた「日本語能力不足」に対応する日本語講座や、業務習得を後押しする教育訓練支援など、実務に直結したスキルアップをトータルでサポートします。

② 地域との共生推進に向けた支援

CCUS(建設キャリアアップシステム)手数料への支援や、就労履歴蓄積等促進支援制度、一時帰国支援なども整備しています。

アンケートでも「日常的なコミュニケーションや関係づくりが長期定着につながる」という声が聞かれましたが、JACはこうした環境整備の面からも、外国人材が長く安心して働き続けられる基盤づくりを支援します。

③ 日常生活サポート

医療通訳サポートや生活トラブルサポートなど、仕事以外の場面で困ったときにも対応できる体制を整えています。

病院受診や生活上のトラブルは企業様が単独で対応するのが難しい場面の一つです。
こうした専門的なサポートを活用することで、企業側と外国人材双方の負担を軽減できます。

JACの特定技能受入支援サービスが、特定技能外国人の受入れ時にぶつかりやすい課題や困りごとの解決をサポートいたします。
多様なサービスをご用意しておりますので、以下のページより詳細をご覧ください。
特定技能受入支援サービス

受入れ後講習の費用サポート

建設特定技能受入計画の認定を受けた受入企業に対しては、外国人の就労開始後概ね6カ月以内に適正就労監理機関であるFITS(一般財団法人国際建設技能振興機構)が実施する「受入れ後講習」の受講が義務付けられています。
これは、来日した特定技能外国人が特定技能制度や建設業のルール・マナーをしっかり理解するための講習です。

JACでは、この受入れ後講習の費用を全額負担いたします。

受入れ後講習の詳細については、こちらでご紹介しています。
制度理解を深める「受入れ後講習」

外国人共生講座

アンケート結果からわかるように、外国人材との円滑なコミュニケーションには外国人材本人への支援だけでなく、受入企業側の理解や関わり方も重要です。

JACでは、日本人従業員向けに「外国人共生講座」を無料で開催しています。
講座では、異文化理解ややさしい日本語など、外国人材との円滑なコミュニケーションに役立つ内容を学ぶことができます。

「指示がうまく伝わらない」「価値観の違いに戸惑う」といった、受入れ後によくある課題への理解を深める機会として、ぜひご活用ください。
【オンライン・無料】日本人従業員向け「外国人共生講座」

まとめ:特定技能外国人の受入れ後はサポートが重要!

アンケートからわかったのは、多くの企業様が工夫を重ねながら外国人材と真摯に向き合っているということです。

価値観や日本語能力は一人ひとり異なりますが、それは日本人スタッフでも同じことです。
受入れ当初はうまくいかないことがあっても、日々の関わりの中で信頼関係を築き、長期的な戦力として活躍してもらっている企業様も多く見られました。

大切なのは、一社で抱え込まないことです。
JACの支援サービスもうまく活用しながら、持続可能な受入れ体制を整えていきましょう!

建設業界で特定技能外国人の受入れをお考えの企業様は、JACにお気軽にご相談ください!

この記事を書いた人

片山 祥平

(一社)建設技能人材機構(JAC)

広報部 / 管理部

片山 祥平

(かたやま しょうへい)

福島県出身。
現在、広報担当として業務に取り組んでいます。
広報業務では、建設分野の特定技能外国人を受け入れている企業の先進的な取り組みを取材し、記事の作成および情報発信を行っています。
また、日本で働く外国人労働者のみなさまに、日本の文化の魅力や仕事に対する考え方など、日本ならではの良さをより深く知っていただきたいという想いから、日々情報発信を続けています。

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